クロージングが苦手で悩む営業マンは多いです。ニーズのヒヤリングや商品説明などは順調に進むのですが、最後の一押しができないのです。
これは、クロージングを単独で考えていることに原因があります。多くの営業マンが、「お客様に強く勧めることができない」というように、決断をせまる部分だけで考えます。しかし、お客様から契約をいただくためには、そこに至るまでのアプローチが重要なのです。
成約に至るまでには必ず、「ペーシング」と「リーディング」の期間が必要です。営業マンは、この順序に従ってお客様にアプローチする必要があります。
「ペーシング」というのは、お客様とペースを合わせることをいいます。お客様の話にしっかりと耳を傾けて、「何を望んでいるのか」を把握するのです。このペーシングの期間では、商談の主導権をお客様に渡すようにします。
「リーディング」というのは、お客様をリードすることです。営業マンから解決策を提示して、問題解決に向けてお客様を引っ張っていくのです。このリーディングの期間では、商談の主導権を営業マンが握るようにします。
ここでは、商談に必要な正しいアプローチについて解説していきます。
お客様との距離を縮める
お客様に会ってすぐに商品を勧めても、お客様は買う気にはなれません。これは、製品やサービスに問題があるわけではなく、いきなりクロージングをしてきた営業マンを避けているのです。
例えば、生命保険の飛び込み営業です。全く面識がないセールスマンが自宅に来て、いきなり売り込みをされたら、あなたはどのように感じるでしょうか。多くの人が、「知らない相手からは怖くて物を買えない」と感じるはずです。
お客様は、信頼できない相手から物を買おうとは考えません。そのために、「ペーシング」が必要なのです。
ペーシングは、雑談によって相手との距離を縮めたり、本音を聞き出してお客様を理解したりする期間です。これにより、お客様との信頼関係が構築できるのです。つまり、ペーシングの期間があるから、リーディングに移ることができるのです。この割合は、8対2になります。
お客様は決断できない
ペーシングによってお客様との信頼を築けても、それだけで契約が成立することはありません。商談の主導権を預けているだけでは、お客様は決断できないからです。そこで必要になるのがリーディングです。
例えば、英会話スクールの営業です。ペーシングによって、「海外で仕事をしたい」「TOEICで900点を目指している」というような、お客様の要望をヒヤリングしました。また、レッスンの内容も丁寧に説明をして、お客様は納得している様子です。
ただ、これだけでお客様は、英会話スクールに入会してくれません。なぜなら、お客様は買い物をする前に必ず迷いが生じるからです。例えば、次のような内容です。
「本当にこの英会話スクールで上達できるのだろうか」
「半年で18万円もするけれど、この価値があるのだろうか」
このように、お客様は決断をする前に必ず迷いが生まれます。そのため営業マンは、お客様の背中を押してあげる必要があるのです。いわゆる、クロージングです。例えば、次のような話し方です。
「迷って決断を先延ばしにしても何も変わらないですよ。本当に英語を勉強したいのであれば今すぐ始めましょう」
このように、決断できないお客様を後押ししてあげるのです。そうすることで、お客様は英会話スクールに入会することを決心できるのです。
「お客様に強く勧めることができない」というように、クロージングに苦手意識を持つ営業マンは多いです。ただ、クロージングを単独で考えてはいけません。お客様から契約をいただくためには、そこに至るまでのアプローチが重要なのです。
商談には必ず、「ペーシング」と「リーディング」の期間が必要です。このアプローチの流れを理解することで、クロージングの成約率を高めることができます。