営業の販売戦略論

販売の成果を左右する営業マンに求められる「人間力」を理解する

お客様が製品の購入を決めるとき、その要因には2つあります。ひとつは製品そのものの要因です。そして、もう一つが営業マンです。お客様は常にこの2つを視野に入れて検討しているのです。

製品」というのは、機能や耐久性、信頼性といった商品そのものの価値を指します。また、価格や納期、製品保証などの要素も含まれます。

営業マン」というのは、提案力や信頼性、誠実感などの営業マンとしての存在価値のことを指します。さらに、企業の規模や信頼度、取引実績などの内容も含まれます。

この2つの軸を理解することで、営業マンとして何をするべきかが見えてきます。ここでは、お客様が製品を購入するときに考えるふたつの要因について解説していきます。

お客様は好きな人から物を買う

優れた製品を扱っているのに、契約を取れない人がいます。これは、その人自身に問題があると言わざるを得ません。お客様に、「この人からは買いたくない」と思われては、成約に至ることはありません。

一方で、ライバル会社よりも価格は高く、機能が優れている訳でもないのに数字をあげる人がいます。これは、その営業マンが人として信頼されているからです。お客様に、「この人から買いたい」という気持ちが生まれ、成果があがるのです。

この両者には一体どのような差があるのでしょうか。それが、お客様に選ばれるための「人間力」です。人間力とは、言葉使いや態度、姿勢といった外面的なものから、その人が持つ社交性、誠実さ、信頼性などの内面的なものを含めた総合的な能力のことを指します。

お客様は物を購入するとき、値段や機能だけで選んでいる訳ではないのです。そこには、「誰から買うか」という要素が含まれているのです。これに大きく影響するのが営業マンの人間力なのです。

製品が良いのに数字が上がらなかったり、価格が高くても契約を貰えたりする営業マンがいる理由がここにあります。お客様は、「自分が信頼できる人から物を購入したい」という想いを誰もが持っているのです。

営業に必要な「人間力」を理解する

「営業マンは、商品ではなく自分を売れ」という言葉をよく耳にします。これは、人が物を買うとき、製品よりも営業マンという要素が大きく影響することを表しています。これを理解することで、営業マンは何をするべきかが見えてきます。

例えば、新規開拓の営業を考えてみます。あなたが新規の取引を提案しても、なかなか簡単には受け入れてはくれません。お客様は、「現在の取引先との付き合い」を重視するからです。

どれほど製品が優れていて価格が安かったとしても、既存の業者との関係性を大切にします。このことから、「誰から買うか」という要素が重要であることがわかります。つまり営業マンは、お客様に選ばれる必要があるのです。

例えば、あなたが洋服を買いに行ったとします。販売員に横柄な態度で友達言葉によって話しかけられたとき、あなたはどのように感じるでしょうか。多くの人は、「この人からは買いたくない」と感じるはずです。

前述のとおり、人は「信頼できる人から物を買いたい」という心理が働くからです。

多くの営業マンは、セールストークやプレゼンのスキルを高める努力は行ないます。しかし、人間力を高める要素が抜け落ちているのです。これは、お客様が購入するときに考える2つの要素うち、「製品」にしか意識が向いていないからです。

営業として成果をあげるためには、「人間力」という要素に目を向けなければいけません。あなたがお客様と会話するときの言葉使いは正しいですか。相手に信頼される対応を営業活動の中で心がけていますか。

「お客様は好きな人から物を買う」という営業の原理原則をしっかりと理解してください。これを考えることで、営業マンとして何をするべきかが見えてきます。お客様から選ばれる営業マンになるため、人間力を高める努力を忘れないようにしてください。