営業の心理学

ザイオンス効果:お客様との信頼関係を作る最も有効な手段

お客様との信頼関係を作る最も有効な手段は、何度も会うことです。接する回数を増やすことで好感度が高まり、強い印象を残すことができます。

人は相手に対して、会えば会うほど好意を抱くようになります。物や道具であれば、長い期間使うほど愛着が湧いてきます。これを心理学で、「ザイオンス効果」といいます。この心理を利用して、お客様と良好な関係を築くことができます。

具体的な方法について、以下の動画で解説しています。

あなたの存在感は会う回数に比例して高まる

例えば、こんな経験をしたことはないでしょうか。毎朝、通勤電車で見かける人がいます。その人も自分と同じ時間の、同じホームにいるので、いつも顔をあわせます。そして、その人に合わない日があると、なぜか心配になります。

「あれっ、今日はいつものあの人がいなけど、どうしたんだろ?」という感情が生まれます。面識もなく、名前も知らない他人がすごく気になります。これは毎朝、何度も会っていたので、相手に対して親近感を持っているからです。

この心理を活用して営業を行うのです。つまり、単純に会う回数を増やすことで、お客様に好意を持ってもらうようにします。これによって、信頼関係を構築できるようになります。

お客様と信頼を作る最も確実な方法

私がインターネット回線のセールスを行っていた時の話です。このザイオンス効果の影響力を思い知らされた出来事があります。まだ新人の頃で、10社前後のお客様しか担当していませんでした。

しかし、担当している会社の数に関係なく、週に10社以上の訪問をノルマとして与えられています。そのため、単純に週に一度は、顧客の元に足を運ぶことになります。一社に複数の担当者がいますので、アポイントは取れるのですが、すぐにネタがつきてしまいます。

そこでしかたなく、「チラシを渡すだけ」「イベントの案内だけ」というような目的で訪問していました。大した用事もないのに、短期間だけ顔を出すことにしたのです。正直いって、アポイントを取るのが嫌でした。しかし、担当数が少ないので、同じお客様を何度も回るしかなかったのです。

そして、あるお客様がオフィスの移転で、インターネット回線の切り替えを検討していたときのことです。数社から提案を受けて、その費用を比較していました。状況をヒヤリングすると、私の価格は高い方です。しかし、お客様は私に発注してくれました。

注文書を貰ったとき、私には違和感がありました。最も安かったわけでもないのに、お客様が選んでくれたからです。そこで、注文のお礼に伺ったときに理由を聞いたのです。

すると、「価格は高かったんだけど、いつも来てくれていたから今回はあなたに発注するよ!」という返事でした。

私は営業として経験も浅かったので、なぜ発注をしてくれたのか、このときは理解できませんでした。それから数年間営業を続けて、信頼関係の大切さが分かるようになって、この注文の意味をようやく理解できたのです。

何度も顔を合わせていたことで信頼関係が生まれ、それが注文に繋がったというわけです。

営業がやるべきことは会う回数を増やすだけ

上手なプレゼンができるから、営業マンの数字が上がるわけではありません。コミュニケーション能力が高いから、目標を達成できるわけでもありません。お客様と信頼関係を結べているから成果が出るのです。

そのために、接触する回数を増やすことを意識してください。お客様の意識の中に登場する機会を増やすのです。圧倒的に接することで、お客様にとってあなたの存在感が増します。すると、自然とあなたに好意を持ってくれるようになります。

会うための理由や、時間は関係ありません。信頼関係を構築したいのであれば、営業マンはとにかく数多く顔を合わせることを意識してください。