営業マンは製品を販売するために、メリットを説明する必要があります。その際に一方的に、「あなた」が話し続けるとお客様は警戒します。何とか説得しようとしていると感じるからです。
そこで、伝えたいメッセージを「他人」に話してもらいます。例えば、他の顧客がその製品を使って感じたメリットを伝えます。すると、お客様はその場にいない他人のストーリーを聞く姿勢になり、目の前の営業マンに対する意識が弱まります。
つまり、第三者の言葉を借りてあなたが伝えることで、相手の警戒心を失くすのです。そうすることで、本来伝えたいメッセージを届けます。
これが、「マイ・フレンド・ジョン」というテクニックです。
営業マンの言葉よりも相手に響く:お客様の声
企業が製品の導入事例を積極的にアピールするのも、このテクニックに基づくものです。例えば、法人顧客であれば、同じ業界の企業は気になる存在です。そこで、同業界での販売実績をうまく利用します。そのお客様が製品を使うことで、「どう良くなったか」を伝えるのです。
例えば、次のようになります。
営業 「実は、同じ業界である富士サービスさんも、弊社の複合機を使ってもらっているんです」
お客 「そうなんですね」
営業 「はい。以前は他のメーカーの複合機を使っていたのですが、先月うちの機種に変えてもらいました。担当者は、『印刷速度が速いので、請求書の発行処理が短時間で終わり、月末の業務が非常に楽になった』と喜んでいました」
お客 「なるほど。確かにうちも月末は請求書の発行処理には時間を取られます」
営業 「はい、そうなんです。御社も請求書の件数は非常に多いので、うちの複合機に変えていただければ必ず効果があると思います。ぜひ、検討してみてください」
このように、同じ業務を行っている他社の事例を出すことで、お客様はイメージが湧きやすくなります。ここで本来、伝えたかったのは「印刷速度が速い」という製品メリットです。しかし、それをあなたではなく、他のお客様の声を使って説明することで、より相手に響かせることができます。
あなたが友達と会話しているときであっても、自分自身のメリットを延々と話すのは自慢でしかありません。しかし、「○○さんから肌がきれいだねと言われた」と第三者が話したように伝えれば、急に自慢のようには聞こえなくなります。考え方は、これと同じです。
さらに、大手や有名企業であればその権威が高まり、より説得力が増すことになります。第三者が信用ある存在であれば、「あの企業が使っているなら」「あの人が言っているなら」という心理が働くからです。
この「マイ・フレンド・ジョン」というテクニックを利用して、言いたいことを伝える技術を身につけてください。営業マンは必ずしも、自分自身の言葉で伝える必要はありません。お客様に、「あなたの想い」が届けば良いのです。