営業の心理学

アンカリング効果:お客様が最初に感じる印象が営業マンにとって大切な理由

お客様に契約の条件を伝えるときは、最初に提示する内容が重要です。初回の印象が基準となり、その後の判断に大きく影響を与えるからです。

これを心理学では、「アンカリング効果」といいます。

アンカリングとは、船を水上で固定するために使う碇(アンカー)のことを指します。碇を降ろした場所が、船の固定位置(基準)になることに例えています。

このアンカリング効果は、お客様の意思決定を大きく左右します。そのため、セールス活動やマーケティングでは、必ず理解しておくべき心理効果になります。

価格の見せ方でお客様に大きなメリットを感じてもらう

アンカリング効果は、スーパーや家電量販店などの価格表示で頻繁に使われています。最もわかりやすい例が、希望小売価格と提供価格です。

あなたも店頭の値札や広告チラシなどで、以下のような表示を見たことがあると思います。

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<p>店頭では、メーカーが設定している希望小売価格を先に提示しておきます。これによって、お客様の頭の中に基準(アンカー)ができます。そうすることで、販売店が設定している提供価格に落差が生まれます。</p>
<p>この落差が大きいほど、お客様はお得感を感じることになります。</p>
<p>さらに、表示の提供価格から値引きを提案することで、購買意欲を高めることができます。値段を下げることを前提に、あらかじめ金額を高めに設定しておけばよいのです。</p>
<p>このように、初回の条件(基準)を設定しておくことで、より大きな「お得感」を感じてもらうことができます。お客様は、大きなメリットがあることを確信したときに、購入を決意します。</p>
<h2 id=営業マンである「あなた自身」をアンカリングする

営業マンにとって、アンカリング効果を有効に活用できるのは、価格設定だけではありません。自分自身をアンカリングすることで、セールス活動を有利に進めることができます。これは、新規顧客へのアプローチの際に、大きな効果が期待できる手法です。

新規顧客の開拓において、一番の壁になるのが「既存の取引先」の存在です。商品の質や価格に大きな差がなければ、お客様は既存の業者を選びます。なぜなら、既に信頼関係が構築されているからです。この壁を超える必要があります。

そこで初回訪問では、有益な存在であることを強くイメージさせます。「価格なら絶対に、他社には負けない」「この業界に20年間いるので、知識が豊富である」といった営業マンの強みを、初対面で印象づけるのです。

これが、お客様の中での基準(アンカー)となります。

「頼りになる営業マン」という基準を作ることで、その後のセールス活動をスムーズに進めることができます。これにより、既存の業者を突破できる可能性が格段に上がります。このようにして、アンカリング効果を新規開拓の場で、多いに有効活用することができます。

このように、お客様が最初に感じる印象は、営業マンにとって非常に大切です。ここで解説した内容を理解して、日々のセールス活動で有効に活用してください。