営業の組織行動学

営業組織における「報・連・相」の重要性

営業組織における「報・連・相」の重要性

企業で働く上でコミュニケーションはとても重要です。情報共有により意思統一を行い、同じ目標に向かって働いていくのが組織だからです。

営業組織も例外ではありません。組織メンバーである個々の営業マンが、独自の判断で行動していては、企業の売り上げ目標を達成することは困難です。メンバーが同じ考えのもとに営業活動に取り組めるように、足並みを揃えなければいけません。

そこで必要になるのが、「報・連・相」のコミュニケーションです。報連相(ほうれんそう)とは、「報告」「連絡」「相談」の頭文字をとった略語です。ここでは、営業組織における報連相の重要性について話をしていきます。

 適切な情報が組織を動かす
組織では役割に必要な「情報」がなければ、仕事を進めることはできません。例えば、上司であれば、部下からの商談結果の報告が必要なときがあります。部下であれば、上司へクレーム対応の進め方について相談が必要になることがあります。

例えば、営業マネージャーがチームの営業方針を決めるときです。既存のお客様からの売り上げが下がっているために、新規顧客の開拓に力を入れていくことを考えています。

ただ、実際は競合他社に価格で差をつけられていることに、売り上げ減少の理由があったとします。このとき、新規開拓を行うまえに、価格コストを抑えるための取り組みが必要です。

しかし、メンバーからの適切な報告がなければ、マネージャーは「価格に売り上げ減少の理由が隠されている」ことを把握できません。このように、日々の営業活動におけるメンバーからの報連相がなければ、適切な判断をすることはできません。

一方で、マネージャーの指揮の下に活動を行うメンバーにとって、その指示内容が適正であるかどうかがとても重要です。戦略が正しくなければ、売り上げを伸ばすことは難しいからです。

そして、このマネージャーの指示は日々の報連相がものとになっていることを、営業メンバーは理解しなければいけません。

マネージャーも営業メンバーも、適切な情報がないと仕事を正しく進めることができません。組織で働くためには、自分が持っている情報を組織と共有しなければならないという心構えが必要です。

 報連相は義務ではなく仕事のスキルである
また、報連相は営業組織にとって重要であると同時に、個々の営業マンが成果をあげるためにも必要です。自分の意思を伝え、思い通りに組織を動かすことができれば、営業活動を効率よく進めることができるからです。

例えば、過去に経験したことがない商品の提案をお客様から依頼されたとします。このとき、自分ひとりで情報を集めて準備をしても、質の高い提案を行うことは難しいです。そこで、「自分が属している組織を活用する」という考え方が重要です。

状況を上司に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。初めての提案になることを営業会議で報告することで、同僚から過去の提案資料を共有してもらうこともできます。報連相によって仕事の効率を高めることができるのです。

このように考えると、報連相は仕事で成果をあげるために必要な能力であることが理解できます。

報連相を会社で働くための義務として捉えるのではなく、仕事で成果を高めるために必要な行為と考えてください。この思考をもとに営業活動に取り組むことで、報連相は強力なビジネススキルとなります。