お客様の断り文句で良く聞くのが、「すでに持っているので結構です」というフレーズです。営業マンであれば、誰もが耳にしている言葉です。そして、多くの営業マンは、この言葉を聞くと言われるがまま諦めてしまいます。
しかし、このように断るお客様こそ、実は優良な見込み客なのです。なぜなら、すでにその商品を所有しているということは、その製品の価値を認めているからです。必要性を感じたから、お客様はお金を払って購入したのです。
つまり、その製品の価値を欲しがっている、優良なターゲット顧客なのです。お客様に対する見かたを少し変えるだけで、この事実に気がつくことができます。
ここでは、見込み客の正しい捉え方について解説していきます。
目に見えないニーズに気づかせる
例えば、自動車です。夫婦2人が乗ることができる軽自動車に乗っているとします。しかし、子供が生まれて大きくなると、家族全員でドライブにいくことができる大きな車のニーズが発生します。
営業マンは、この目に見えない「お客様のニーズ」を引き出してあげるのです。具体的には、最初にどのような経緯で現在の車を購入したかをヒヤリングします。例えば、次のような会話です
「いま乗られている車はどのような理由で選ばれたのですか」
「はい、以前はワゴン車だったのですが、余計な出費になっていました。そのため、結婚を期に軽自動車に変えたのです」
このように、現在の商品を選定した理由を聞き出します。そこから、話を掘り下げて悩みや不満を見つけだしていくのです。例えば、次のようなトークです。
「そうなのですね。でも、今ではお子様もいらっしゃって来年は小学生になられるのですよね。そうであれば、家族みんなが一緒になって乗れる車に変えてみてはいかがでしょうか。きっと息子さんも喜ぶはずですよ」
このように、お客様のなかに埋まっているニーズを、営業マンが引き出すのです。そうすることで、お客様自身が製品に対する問題や不満に気づくことができます。例えば、次のような受け止め方です。
「そうですね。確かに家族3人でドライブすることを考えると、今の車は少し小さいかも知れません」
このように、「家族3人で乗れる車」という新しいニーズが浮き彫りになります。そこで営業マンは、このニーズにあった製品を提案してあげれば良いのです。
どのような製品であっても、現状に100%満足しているというお客様はいません。必ず満たされない問題をかかえているものです。さらに、お客様自身がその問題をハッキリと認識していないことは多いです。
そこで、営業マンがその悩みに気づかせてあげるのです。そうすることで、お客様の中に新たなニーズが生まれます。その問題を解決できる商品を、営業マンは提案すれば良いのです。
このように考えると、「間に合っているので結構です」と断るお客様は、ポテンシャルの高い見込み客であるということができます。
お客様が既に商品を使っているからといって、営業マンは提案を諦めてはいけません。そのお客様は、商品の価値にマッチしたターゲット顧客だからです。
営業マンがニーズに気づかせてあげることで、お客様を優良な見込み客に変えることができることを理解してください。