営業の販売戦略論

営業マンが扱う製品はお客様の「感情を動かす手段」に過ぎない

多くの営業マンは、商品の説明に懸命になります。自分が扱う製品の特徴や、他社と比べて何が違うのかを話し続けます。

これは、自分が取り扱う製品の捉え方を間違っていることに原因があります。あなたが扱う製品は、お客様の感情を動かすための手段に過ぎないのです。このことを正しく理解するだけでも、営業は驚くほどうまく進みます。

ここでは、あなたが扱う商品は、お客様にとってどのような価値があるのかについて解説をしていきます。

お客様は製品を欲しがってはいない

お客様が商品やサービスを購入するのは、自分の感情を満たすためです。製品そのものではなく、それを買うことで得られる「感情」です。

例えば、生命保険という商品です。一家の大黒柱であるご主人様に万が一のことがあっては大変です。そのため、次のような不安がうまれます。

・残された家族に対する不安
・入院したときの経済的な不安

このような不安を解消するために生命保険は存在するのです。もしものことが起こっても、保険に入っておけば安心です。つまり、お客様はこの「安心感」という「感情」が得られるから、保険に加入するのです。

お客様は、生命保険という製品自体が欲しいわけではありません。それを購入することで得ることができる「感情」を手に入れたいのです。

いかにお客様の感情を動かすか

あなたが扱う商品やサービスというのは、お客様の感情を動かす手段に過ぎません。お客様は理屈よりも、「感情」が動いたときに物を買います。例えば、次のように気持ちが動いたときに、購入することを考え始めるのです。

「このサービスを利用すれば事務処理が減って楽になりそうだ」

「この製品があれば家事が楽になって妻が喜びそうだ」

このように、お客様は商品やサービスを使うことで得られる感情をイメージするのです。
その感情が手に入ることを実感できたときに、製品を買うことを決断するのです。そこで、営業マンは、この「お客様の感情」を動かしてあげれば良いのです。

例えば、腕時計です。完全に数量限定の腕時計が販売されるとします。この腕時計を購入するお客様は、次のような感情を欲しがっています。

「手に入れることが難しい商品を持っていることの優越感」

「数量限定の珍しい腕時計をしているという満足感」

つまり、営業マンはこの感情を、お客様にイメージさせてあげれば良いのです。例えば、次のような話し方になります。

「この機会にしか手に入れることができません。二度と販売することはありませんので、友人にも珍しがられますよ」

このように、商品を手にすることで得られる優越感という「感情」を、お客様が連想しやすいように話すのです。

お客様は機能や価格といった「理屈」で製品を選んでいるわけではありません。お客様は「感情」が動いたときに物を買うのです。つまり、あなたが扱う商品やサービスというのは、お客様の感情を動かす手段に過ぎないのです。

多くの営業マンは、商品の説明に多くの時間を使います。製品の特徴や機能の説明をすることが、セールストークであると捉えているのです。これは、商品を理解してくれれば、お客様は購入してくれると考えているからです。

しかし、お客様は製品そのものが欲しいわけではありません。それを買うことで得られる「感情」を求めているのです。お客様が商品やサービスを購入するのは、自分が欲しい感情を手に入れるためなのです。

あなたが取り扱う製品は、お客様の「感情」を動かす手段に過ぎません。これを正しく理解することで、お客様に何を伝えれば良いかが見えてきます。あなたが販売している製品は、お客様にどのような「感情」を与えているかを真剣に考えてください。