法人営業で思うように成果をあげられず悩んでいる人は多いです。多くの場合、法人営業の特徴を理解していないことに原因があります。
この特徴を知らずに、営業マンの都合で商談を進めてしまうから上手くいかないのです。
そして、「法人営業とは何か」を理解するとき、個人営業との違いを比較することが効果的です。なぜなら、他の営業スタイルと比べることで、より特徴が明確になるからです。
そこで、ここでは個人営業を比較することで、法人営業の特徴を解説していきます。
法人営業と個人営業の違い
法人営業とは、営業マンが法人企業をお客様として営業活動を行うことです。つまり、あなたが勤めている企業と企業(お客様)が取引を行うことになります。企業(Business)どうしが取引を行うことから、BtoB営業(Business to Business)と呼ばれます。
例えば、あなたがコピー機の営業マンだとします。このとき、販売をする相手は私達のような個人の消費者ではなく、法人のお客様になります。つまり、あなたの勤める企業が企業に営業を行うことになります。
一方で個人営業は、一般の個人消費者をお客様として営業活動を行ないます。取引の相手が一般の消費者(Consumer)になるため、BtoC営業(Business to Consumer) と呼ばれます。
例えば、あなたがモバイルショップに勤務する携帯電話の販売員だとします。このとき、携帯電話を買いに来るお客様は、会社員や大学生というような個人消費者です。つまり、あなたの勤める企業が個人に営業を行なっているのです。
この「個人営業」と「法人営業」の特徴を比較すると、以下の図のようになります。
1、商談相手商談相手というのは、販売活動をするときに話をする相手です。個人営業であれば、その名のとおり個人のお客様(消費者)が相手になります。つまり、営業マンが話をする相手は個人が対象になります。
一方で、法人営業は異なります。個人営業では、一人の個人のお客様でしたが、法人営業では複数のお客様が商談の相手になります。なぜなら、法人は企業として取引を行うため、一人の判断で購買を決めることはできないからです。
例えば、あなたがコピー機の販売員で、法人のお客様にアプローチをするとします。このとき、コピー機の買い替えを検討していた業務部の担当者へ提案を実施することができました。そして、そのお客様は、あなたが扱う商品を非常に気に入ってくれました。
このとき、そのままスムーズに契約まで辿り着けるでしょうか。もちろん、そのようなことはありません。なぜなら、商談を行なったお客様ひとりの判断で購入することを決めることはできないからです。
営業マンがやるべきアプローチ
このケースであれば、商談をおこなった担当者がコピー機の買い替えの申請を社内で行う必要があります。その申請が担当部門長や購買部門などの承認者に認められることで、お客様は購入できることになるのです。
例えば、商品を気に入ってくれた担当者の上長が、現在のコピー機との違いが分からずに承認が止まっているとします。このとき、営業マンはその上長に理解してもらうために、直接アプローチを行うことが求められます。
つまり、商談を行う相手が複数人でてくることになるのです。このように、一人で経営している零細企業などを除き、多くの企業では複数のお客様が商談相手となるのです。
このような特徴から、法人営業では数多くのキーマンを把握して、その一人ひとりに提案を行なっていく必要があることが理解できます。
2、購買プロセス
次に個人と法人営業の購買プロセスについてみていきます。購買プロセスとは、お客様が商品の購入を決定するまでの流れです。このプロセスによって、営業マンのアプローチも変わってきます。
個人のお客様であれば、一人で「買う・買わない」を決めることができます。そのため、意思決定までの時間は短く、単純なフローになります。営業マンから見た場合、目の前のお客様ひとりに納得してもらえば良いのです。
しかし、法人営業はそうではありません。前述のとおり、企業では担当者が単独で商品の購入を決定することはできません。複数のお客様が意思決定に関係しているため、購買プロセスは複雑であると言うことができます。
法人営業の提案の進め方
そして、複数のキーマンが意思決定に関係していると、当然それだけの時間がかかることになります。つまり、法人営業は個人のお客様を相手にするよりも、提案活動に時間がかる傾向があります。
また、法人顧客の購買プロセスがそうであるように、営業マンが行うべき提案も複雑で長期的なアプローチが必要になります。例えば、ひとつの契約が締結されるまでに、六ヶ月から一年間というような時間がかかることもあります。
このような特徴から法人営業では、お客様企業の複数のキーマンと接触を行ないながら信頼の構築を行ない、時間をかけて長期的な視野で商談を進めていくことが求められます。
3、取引の継続性
最後に取引の継続性について解説していきます。取引の継続性とは、一度購入してもらったお客様が、何度も商品を購入してもらえる可能性があるかを意味します。
例えば、個人のお客様が家電製品を購入した場合、再度その商品を購入する確率はとても低いです。つまり、そのお客様との取引は一回で終わってしまうので、継続性は短期的であると言えます。
ただ、法人営業はそうではありません。個人の消費と違い、法人は長期的な取引になる傾向が強いです。例えば、先程のコピー機の導入であれば、サポートサービスの契約であったり、定期的にトナーなどの備品を購入したりします。
また、継続的なサービスがない場合でも、取引の継続性は長期的になることが多いです。なぜなら、上記で解説したとおり購買プロセスが複数で時間がかかるため、取引先の業者を変えることを嫌うからです。そのため、長期的な取引に発展しやすいのです。
法人営業の大きなメリット
私は会社員のころ、個人も法人営業も経験してきました。そのなかで言えることは、法人営業の方が売上を上げやすいということです。なぜなら、先ほど解説してとおり、継続的な取引に発展しやすいからです。
もちろん、最初に取引を開始するまでには苦労が必要です。しかし一度、実績を作ることができれば、長期的なお客様にすることができるのです。各キーマンとの人間関係を持続させて、しっかりとアフターフォローをすることで売上を上げ続けることができるのです。
先ほど私が、「法人営業の方が売上を上げやすい」と言った理由がここにあるのです。新規のお客様を開拓するよりも、既存のお客様と長く取引を続ける方が少ない労力で済みます。これが法人営業の大きな特徴であり、メリットでもあるのです。
ここまで解説してきたとおり、個人と比較することで法人営業の特徴が見えてきます。そして、営業マンはその特徴に応じた営業アプローチが必要になるのです。営業活動では、まずはお客様を知ることから始めなければいけません。
法人のお客様の特徴を理解したうで、あなたが行なっている営業アプローチは適切かどうか振り返ってみてください。