顧客の「あるべき姿」を理解することで法人営業は上手くいく
法人営業では、最終提案を行なってからしばらく商談が停滞してしまうことがあります。これは、お客様の企業の中で稟議の決裁が止まっているからです。つまり、いずれかの担当者がプロジェクトに賛成せず、稟議が止まっているのです。
このようなとき、営業マンはその担当者に直接アプローチすることが効果的です。その担当者が抱えている不安や疑問を聞き出して、それを解消してあげるのです。そうすることで、稟議を前進させてクロージングに近づけるのです。
しかし、営業マンといっても、単なる外部の人間です。その部外者である営業マンに、社内事情である決裁に口出しされても、その担当者はそのまま受け入れてはくれません。そこで、その決裁者に自発的に動いてもらうように工夫する必要があります。
ここでは、顧客の稟議が止まっているときに有効なアプローチについて解説していきます。
「あるべき姿」が決裁者を動かす
稟議を止めているキーマンを自発的に動かすには、「あるべき姿」を見せることが効果的です。あるべき姿とは、そのキーマンの担当業務における理想の姿です。具体的には、その会社で与えられた業務目標を達成し、その業績が社内で認められることです。
例えば、われわれ営業マンの「あるべき姿」は、与えられた営業予算を達成し、上司や会社から評価されて役職や給料があがっていくことです。
このあるべき姿を、稟議を止めている担当者にイメージさせて、自発的に行動するように促すのです。具体的な方法としては、他の事例を伝えることです。例えば、次のような提案です。
「同じ業界の鈴木商事様は、すでに内製化に取り組み始めています。御社もこの機会に始めましょう」
このように、他の企業の事例を紹介することで、その担当者が取るべき行動をイメージさせるのです。そうすることで、担当業務におけるあるべき姿を再認識させるのです。これによって、自発的に動いてもらうのです。
また、「あるべき姿」をお客様に伝えるためには、お客様という企業を理解していなければいけません。なぜなら、「どのような企業か」を知らなければ、当然お客様にあるべき姿を伝えることはできないからです。
そのため、営業マンはお客様の企業研究や業界研究を怠ってはいけません。
ここまで解説してきたとおり、稟議を止めている担当者に対しては、直接アプローチを行なうようにしてください。そして、その担当者に「本来やるべき仕事」をイメージさせるのです。そうすることで、自発的に業務に取り組んでもらうことができます。
このようにして、停滞しているお客様の稟議を前に進めて、商談をクロージングに近づけていくのです。このアプローチを行なうことで、法人営業の成約率は大きく高まります。
営業は担当者の目標達成のお手伝い
私がIT業界で法人営業を行なっていたときの話です。深く入り込んでいていたお客様に対しては、担当者のあるべき姿を直接聞いていました。つまり、その担当者が会社から与えられている業務目標をヒヤリングしていたのです。
例えば、次のように具体的に質問をすれば良いのです。
「鈴木さんが今年度に注力されるプロジェクトは何になりますか」
「鈴木さんの今期のミッション(業務目標)は何でしょうか」
そして、そのミッションを達成するための提案を行ない、お客様に業務目標を達成してもらうというスタンスで取り組んでいました。
お客様からすれば、自分の仕事の手伝いをしてくれる訳ですから、もちろん嫌な思いはしません。それどころか、とても歓迎されます。このように法人営業は、「お客様の業務目標のお手伝いをする」という姿勢で取り組むことで上手くいきます。
あなたが担当しているお客様の「あるべき姿」を真剣に考えてください。そうすることで、顧客の稟議が止まっているときに、それを前進させる提案を行なうことができます。また、それを実現させる提案を行なうことで、お客様から大きな信頼を得ることができます。
お客様の「あるべき姿」を知ることが、法人営業の攻略の鍵を握っていることを理解しなければいけません。