法人営業の基礎

法人営業の攻略の鍵を握る、予算計画とスケジュールを把握する

法人営業の攻略の鍵を握る、予算計画とスケジュールを把握する

個人営業と法人営業を比較した場合、対照的なのが購買プロセスです。購買プロセスとは、商品を検討してから、実際に購入するまでに行なわれる一連の業務です。

個人のお客様であれば、購入に至るまで時間はそれほどかかりません。購入に必要なお金があれば、個人の判断で「買う・買わない」を決めることができるからです。

一方、法人のお客様はそうはいきません。会社として商品を購入するため、そのための予算を確保して、購入するための決裁を貰わなければいきません。そのため、個人のお客様と比べると、購入に至るまでに時間がかかります。

そして、この法人のお客様に特有な「予算」の特徴をおさえることで、営業マンは商談を有利に進めることができます。ここでは、法人営業攻略の鍵を握る、予算について解説していきます。

 予算とは何かを理解する
まず、企業にとっての「予算」とは何でしょうか。企業はその会計年度に必要となる費用を見積り、それによって事業の収支の管理を行ないます。つまり、前もってその年度に使われるお金を決めておくのです。これが、予算です。

例えば、会社には複数の事業部が存在します。このとき、各事業部が使いたいだけ会社のお金を使ってしまうと、会社全体としてお金の管理ができなくなります。つまり、会社として経営が不安定になってしまいます。

そこで、各事業部に必要なお金(予算)を割り振り、それによって会社全体の収支の管理を行うのです。

これは、難しいように聞こえますが、個人に例えると分かりやすいです。例えば、会社員であれば、毎月給料が支給されます。そして、その給料を「何にどれだけ使うか」というようにその内訳を決めていると思います。

例えば、「娯楽など自由に使えるのは毎月3万円まで」というように、あらかじめ決めていると思います。これが、予算の考え方です。ここで、毎月3万円という上限を決めておかないと、買いたい物を衝動的に買ってしまったり、同僚に誘われるがまま飲みにいってしまったりします。

そうすると、どうなるでしょうか。その他に出費が必要である食事代や生活費にお金が回せなくなってしまい、日々の生活が苦しくなってしまいます。あなたも、次の給料日が待ち遠しい、という状況を経験したことがあるのではないでしょうか。

このような状況を防ぐために計画的に使えるお金を決めて、それによって収支の管理を行なうのが予算の基本的な考え方です。

それでは、この予算の概念を理解したところで、法人営業では何をすれば良いのかを解説していきます。

予算計画とスケジュールを把握する

 
法人企業が予算にしたがって購買活動を行なうのであれば、お客様から契約をもらうためには予算にあわせなければいけません。つまり、どんなに良い提案を行なっていても、予算がなければ契約に至ることはないのです。

それでは、具体的にどのようなアプローチをすれば良いのでしょうか。その答えは簡単です。お客様企業における予算計画やスケジュールを把握して、それにあわせて提案を進めていけば良いのです。

この予算計画は、会計年度ごとに行なわれ、その年度の予算は前年度に決まります。例えば、2011年度に、ある企業の総務部でコピー機を購入する計画があったとします。このとき、その年度内に購入できるわけではありません。

まず、翌年度の予算を計画し、それが承認されて予算確保できることで、ようやく翌年度の2012年度に購入できるようになるのです。

例)予算スケジュール


2011年10月 コピー機購入の検討を開始
2011年12月 コピー機購入のため2012年度予算を申請
2012年4月 予算の承認がされることで購入可能

 予算の視点に立った商談の進め方
つまり、営業マンはこの予算計画とスケジュールにあわせて商談を進めていけば良いのです。しかし、予算に関する情報というのは、いわえる企業内部の情報であり、一般的に公開されているわけではありません。

そのため、お客様から聞き出すしか、それを知る手段はないのです。もちろん、内密な情報ですので、お客様も誰にでも教えてくれるわけではありません。当然、営業マンとして信頼されている必要があります。

法人営業において、お客様との信頼関係が第一である理由がここにあります。

予算額が把握できていれば、それにあわせた見積りを提示することができます。また、予算スケジュールが分かっていれば、提案の機会を逃すこともありません。

そして、最も理想的な商談の進め方が、プロジェクトの発足からアプローチを行ない、予算取りの段階から提案と見積り提示を行なっておくことです。これにより、競合他社と大きく差をつけることができ、成約率を格段に高めることができます。

例えば、お客様が予算を申請しやすいように、稟議をあげるための参考資料を提示することもできます。具体的には、他社製品との違いを表した比較資料や、費用対効果を示す損益計算書などです。

このように、お客様の予算を把握しておくことで、より精度の高い提案を行なうことができます。これにより他社との差別化をはかり、成約率を圧倒的に高めることができるのです。お客様の予算計画を把握することが、法人営業攻略の鍵を握ることを理解しなければいけません。