コミュニケーション学

お客様が話したい話題でどれだけ盛り上がることができるか

営業マンに求められる会話力とは、お客様に気持ちよく話をしてもらう能力です。どんなに話したいことがあっても、相手の興味に話題をあわせることです。どれだけお客様が話したい内容で、盛り上げることができるかが重要です。

多くの営業マンは勘違いをしています。商談では、自分が製品説明をおこない、お客様はそれを聞く立場であると捉えています。自分が話す側で、お客様が聞く側と考えています。しかし、実際は逆です。

商談では、お客様が話したい内容を話題にします。相手に気持ちよく会話をしてもらうためです。そうすることで、「あの人ともっと話をしたい」と思ってもらえます。

自分のネタをどれだけ捨てることができるか

成績の良い営業マンは、このこと理解しています。自分が話したいことは極力抑えます。そのため、「自分が話したいこと」を簡単に捨てることができます。

例えば、コピー機の営業マンです。来月に新機種が発売されます。この製品を紹介するために、お客様にアポイントを取りました。ところが、お客様と会うすぐに空気清浄器の話をしてきます。

使っている機種が古くて、故障したようです。「販売店を知っているか」「どんなメーカーが売れているのか」など聞いてきます。

ここで営業マンに求められるのは、空気清浄器の会話を盛り上げることです。「自分の事務所では○○のメーカーを使ってます」「扱っている業者を紹介しましょうか」など、積極的に質問をします。

ダメな営業マンは、これができません。すぐに本題に入ろうとします。相手の話したいことが、まだ残っているのを感じとることができません。

「そうですか、わかりました。ところで、今日は来月発売されるコピー機の紹介で伺ったのですが……」というように、強引に方向を変えてしまいます。

商談の主人公は、お客様です。あなたの製品説明がメインではありません。相手の話したい話題を取り上げることです。商談の場で、お客様に気分よくなってもらうことです。自分のネタを披露するのは、それからで問題ありません。

話を聞くだけでお客様を満足させることができる

多くの営業マンは、「関係のない話」に耐えることができません。早く製品の話をしなくては、と焦ります。何とか、話題を切り替えるタイミングを探します。

しかし、私は逆です。むしろ大喜びします。本題と全く接点がなくても、お客様から話を振ってくれると、心の中でガッツポーズします。会話のネタを、お客様から提供してくれるほど、営業マンにとって有り難いことはありません。

なぜなら、人は誰かに話を聞いてもらうだけで、満足します。さらに、真剣に聞いてくれる相手を信頼します。「この人は私のことを分かってくれる」というように、お客様に思わせることです。

私は携帯電話の料金センターで働いていました。利用料金を払わないと、携帯が使えなくなります。契約を解除されてしまうからです。そのお客様に対して、支払いを催促する業務を担当していました。

そこでは、「勝手に止めるな」「すぐ携帯を使えるようにしろ」のクレームの嵐です。多くの人は、文句を言ってくるお客様は、お支払いをしてくれないと思います。しかし、そうではありません。むしろ、文句を言う人ほど入金してくれます。

それは、自分の不平や不満を全て話したことで、気分がスッキリするからです。そのため、クレームを言った後に、すんなりとお支払いをしてくれる事が多かったのです。

営業マンに求められる会話力とは、言いたいことを伝える能力ではありません。お客様の伝えたいことを、受け止めることです。なぜなら、人は自分の考えや想いを理解してくれるを信頼するからです。

これを認識したうえで、自分の会話の進め方を振り返り、改善するようにしてください。