コミュニケーション学

初回訪問でお客様と共通話題を必ず見つけるアイスブレイクの極意

初回訪問で大切なことは、お客様と打ち解けることです。「この人なら、また会っても良い」という印象を持って貰わないと、次回のアポイントが取れません。そのため、いかに相手との距離を縮めるかが重要になります。

そこで、商品やサービスの紹介よりも雑談で盛り上がる方が効果は高いです。仕事以外の話題で会話が弾むことで、お客様はあなたに親近感を感じてくれます。

しかし、初めて会う相手では、共通の話題がありません。天気や景気の話だけでは、雑談のネタはすぐに無くなってしまいます。そのため初回訪問では、アイスブレイクのネタを十分に準備しておく必要があります。

ここでは、初回訪問におけるアイスブレイクのコツについて話をしていきます。

初対面でも雑談のネタを見つけるコツ

私が新規顧客の営業をおこなっていたときに、必ず使っていたネタの収集方法があります。それは、最寄り駅からお客様オフィスまでの道のりで、印象に残った物をネタにすることです。

例えば、以下のような物です。

 ・駅前にある飲食店やラーメン店
 ・工事中のビル
 ・すぐ隣りのオフィスやビル
 ・珍しい建物など

そして、気になった内容を元にして、相手に雑談を投げかけます。私がよくおこなっていたのが、次のような質問です。

「駅前にラーメン屋さんがありましたけど、すごく美味しそうですね。私、とんこつ系が大好きなんですよ。食事に行かれたことはございますか」

「こちらのオフィスの手前で、大きなビルが工事中でした。非常に高い建物のようでしたが、あそこは一体、何ができるのですか」

お客様にとっては、会社の行きと帰りでいつも見ている風景です。そのため、何かしらの意見や情報を持っている確率が高いです。選ぶポイントは、「誰でも目につくような目立つ物」を対象にすることです。

このテクニックの良い所は、会話の一番初めに使うことができることです。オフィスに着く前についさっき見た光景ですので、冒頭で話すことに全く違和感がありません。お互いの緊張をほぐすことが目的であるアイスブレイクでは、非常に有効な手段になります。

営業マンから自己開示することで空気を和らげる

馴染み深いネタを振っても、思うように盛り上がらないときがあります。それは、初回訪問の営業マンに対して、警戒をしているためです。

お客様は、「心を開いて隙をみせると、商品を売り込まれてしまうのではないか」という不安を持ちます。そのため、雑談であっても会話が盛り上がらないのです。

そこで、営業マンからプライベートな情報を伝えて、開放的な雰囲気にします。すると、お客様はあなたの個人的な情報を知ることで、親近感を抱きます。つまり、自然とあなたに好意を持ち始めます。

この心理を、アイスブレイクで活用します。つまり、自分からプライベートな部分をオープンにすることで、相手との距離を一気に縮めるのです。

例えば、「先週末に、高校の同級生と集まって、飲みに行ったのです。ちょっと飲み過ぎてしまい、帰りの電車で寝過ごしてしまいました。それで終電を逃してしまい、自宅に帰れずに始発まで駅のベンチで過ごしたのです……」という内容です。

さらに、その場の空気が温まってくれば、お客様のプライベートに話題を振ることもできます。相手が先に「自己開示」しているために、お客様も会話にあわせてくれる可能性が高くなります。

初回訪問では、お互いに緊張している状態からスタートします。人は誰でも、初対面の相手と話すときは固くなります。その空気を和ませるのは、営業マンの仕事です。

そのため、お客様との距離を縮めること対して、頭を使う必要があります。「あの営業マンなら、また会ってみてもよい」と感じてもらえないと、2度目の訪問は実現しません。商談に発展する可能性すら無くなるのです。

このように考えると、「アイスブレイク」は営業マンの必須スキルであることが分かります。