話し方がうまい人は、聞き方も上手です。話し手の気持ちを理解しているため、聞くことも上手なのです。
つまり、会話を続けやすいように、相手の気持ちを考えながら聞いているのです。
これが営業マンのヒヤリングに求められる、積極的に聞く姿勢です。ここでは、ヒヤリングのポイントについて解説していきます。
ヒヤリングは能動的な行為である
多くの人は、話を聞くということは、受け身の行為であると思います。
しかし、これは非常に無責任な考え方です。なぜなら、会話というのは、お互いで作りあげていくものだからです。
つまり、能動的な行為なのです。
たとえば、お客様には、「この話はまだできない」という社内の事情があります。しかし、うまく会話が盛り上がれば、ポロッと話をしてしまうことがあります。
営業マンが能動的に会話を盛り上げれば、重要な情報をヒヤリングできるのです。
ヒヤリングでは熱意が話し手を動かす
私は月に一度、高校生の生徒達にキャリア・デザイン講座の講義を行っています。
講師として、壇上でうまく話せるコツがあります。それは、こちらに視線を向けて、時々うなずきながら、しっかりと聞いている生徒を見つけることです。
そして、その生徒に向けて講義をおこなうつもりで進めます。
話に対するリアクションが分かるので、非常に講義を進めやすいのです。つまり、聞き手の積極的な姿勢が、話し手のモチベーションを高めるのです。
お客様との商談でも、これと同じことがいえます。
営業マンはしっかりと耳を傾けて、話の趣旨を理解しようとする姿勢が大切です。その意気込みが伝わることで、お客様の話すモチベーションがあがります。
聞き手が真剣になることで、話し手も真剣になります。
「自分も同じように本気で会話をしなければいけない」という心理が働くからです。これを心理学で「返報性の法則」といいます。
聞き手の熱意は、話し手に伝わる
ヒヤリングでは質問が効果的
また、質問をすることは、聞き手役のアクションとして効果的です。
適切な質問をすることで、真剣に話を聞いていることが伝わり、信頼感が高まるからです。
たとえば、講義やセミナーでも、積極的に参加している人は必ず質問をします。分からないことは確認しよう、というように真剣に話を聞いているためです。
そのため、質問することで、真剣に話を聞いていることを伝えられるのです。
相手に気持ちよく話してもらう
これは雑談でも同じです。
商談では、いきなり仕事の話をするよりも、世間話から始めたほうが、お互いの緊張が和らぎます。いわゆる、アイスブレイクです。
たとえば、次のようにお客様に聞かれたとします。
このとき、次のように返したら、会話が終わってしまいます。
相手はゴルフの話をしたいのです。あなたがやっているかいないかは、関係ありません。
お客様がゴルフの話を始めやすいように返してあげるのが、聞き手の正しい対応です。
たとえば、以下のように返すのが正解です。
相手の質問に答えるのではありません。お客様が話したい内容を察知して、その話を振ってあげることが重要なのです。
自分の言いたいことは、我慢する必要があります。商談でも雑談でも、主役はお客様であり、営業マンではありません。
話を盛り上げるのは、聞き手の役目です。
聞くという行為は、受け身ではありません。話し手が気持ちよく会話ができるように能動的に働きかけます。営業マンには、積極的な聞き手になることが求められます。
話を盛り上げるのは、聞き手の役目である