コミュニケーション学

結論から先に:自分の言いたいことを相手に明確に伝える技術

自分の考えを明確に伝える一番の方法は、「結論から先に」話を始めることです。話し方のレッスンや書籍などで、必ず出てくる方法のひとつです。しかし、多くの人が実行できていません。

話の趣旨や大事なことを早めに伝えることで、相手の理解度が高まります。結論に続く形で具体的な理由を述べていくようにすれば、話を論理的に展開することができるからです。

ここでは結論から先に話すことで、いかに言いたいことを伝えることができるかについて解説します。

結論は先に、理由はその後に

例えば、お客様からクレームを受けたときの上司への報告です。自社の都合で納品が一日遅れることになりました。

しかし、営業マンが連絡するのを忘れていたため、お客様は事務所で遅くまで待っていたのです。連絡がなかったことにお客様は憤慨しています。

このとき、次のようなやり取りがあったとします。

鈴木商事から先月オーダーしていただいた複合機の納品遅れについてメールがきているのですが

そうか、それでどうした

本当は今月の5日に納品される予定だったのですが、工場の検査が遅延したことで翌日の6日にずれ込んでしまったのです
一日の遅れだったら事情を説明すれば、お客様も納得してくれるのではないのか

そうですね。ただ納期が遅れることを伝えるのを忘れておりまして……

このように、状況説明から入ってしまうと、なかなか結論にたどり着くことができません。「何が言いたいのか」を知りたい聞き手にとって、非常にまわりくどくなります。そのため、結論から先に伝えます。

たとえば、次のような話し方になります。

鈴木商事から納期遅延の連絡漏れによるクレームがきております

このように、最も重要なことを、最初に認識してもらうのです。そして、次のように経緯や理由を説明していくのです。

今月の5日に納品される予定が工場検査の遅れで6日にズレたのです。しかし、私が鈴木商事様に連絡するのを忘れてしまい、お客様を事務所でずっと待たせてしまいました。それに対して、連絡がなかったことへのクレームです

また今回のように、自分にとって不都合な理由は、とても言いづらいものです。そうすると、つい曖昧な表現を使って責任の所在を不明確にしようとしてしまいます。

しかし、重要な問題ほどしっかりとした事実を伝えて、効率的にコミュニケーションを取らなくてはいけません。

最も大切なことは、冒頭で相手に伝えることです。結論を早めに明らかにすることで、相手へ効率的に伝えることができるからです。

自分の思いを明確に伝えるために、結論から先に話す習慣を身につけるようにしてください。