お客様に契約の条件を伝えるときは、最初に提示する内容が重要です。初回の印象が基準となり、その後の判断に大きく影響を与えるからです。
これを心理学では、「アンカリング効果」といいます。
アンカリングとは、船を水上で固定するために使う碇(アンカー)のことを指します。碇を降ろした場所が、船の固定位置(基準)になることに例えています。
このアンカリング効果は、お客様の意思決定を大きく左右します。そのため、セールス活動やマーケティングでは、必ず理解しておくべき心理効果になります。
価格の見せ方でお客様に大きなメリットを感じてもらう
アンカリング効果は、スーパーや家電量販店などの価格表示で頻繁に使われています。最もわかりやすい例が、希望小売価格と提供価格です。
あなたも店頭の値札や広告チラシなどで、以下のような表示を見たことがあると思います。
営業マンである「あなた自身」をアンカリングする
営業マンにとって、アンカリング効果を有効に活用できるのは、価格設定だけではありません。自分自身をアンカリングすることで、セールス活動を有利に進めることができます。これは、新規顧客へのアプローチの際に、大きな効果が期待できる手法です。
新規顧客の開拓において、一番の壁になるのが「既存の取引先」の存在です。商品の質や価格に大きな差がなければ、お客様は既存の業者を選びます。なぜなら、既に信頼関係が構築されているからです。この壁を超える必要があります。
そこで初回訪問では、有益な存在であることを強くイメージさせます。「価格なら絶対に、他社には負けない」「この業界に20年間いるので、知識が豊富である」といった営業マンの強みを、初対面で印象づけるのです。
これが、お客様の中での基準(アンカー)となります。
「頼りになる営業マン」という基準を作ることで、その後のセールス活動をスムーズに進めることができます。これにより、既存の業者を突破できる可能性が格段に上がります。このようにして、アンカリング効果を新規開拓の場で、多いに有効活用することができます。
このように、お客様が最初に感じる印象は、営業マンにとって非常に大切です。ここで解説した内容を理解して、日々のセールス活動で有効に活用してください。