人は流行に流されます。そして、数多く売れていると、その製品の価値を高く感じる傾向があります。「あんなに売れているのなら、きっと良い商品に違いない」と考えます。
これを心理学で、「バンドワゴン効果」と言います。バンドワゴンとは、日本語で行列の先頭にいる楽隊車という意味であり、「流行に乗る」ことを例えています。
流行は最大のセールス・トークである
次のような経験はないでしょうか。例えば、家電量販店で加湿器を探していたとします。店頭に並べてある製品を見ていたところ、販売員が寄ってきて声をかけられます。
「今、ご覧いただいている加湿器は、非常に人気がある製品です。新製品で先月発売したばかりなのですが、店舗においてある加湿器の中で販売台数がトップなのです」
これを聞いたあなたは、「この加湿器はいい製品なんだ」と思うはずです。それは、「大勢の人が購入しているので、良い製品に違いない」という心理が働くためです。
製品紹介の記事や広告に、「人気ランキング1位」「売り上げNo1」という言葉がよく使われています。これは、バンドワゴン効果を狙った典型的な例といえます。
このバンドワゴン効果を使うことで、効果的なセールスを行うことができます。例えば、事務所で使用する加湿器を探しているお客様には次のように伝えます。
「オフィスで使う場合は、加湿パワーが非常に強い松平電器さんの製品を買われるお客様が非常に多いです」
多くのお客がこの製品を選んでいる事実を伝えることで、「何か売れている理由があるんだな」と興味を惹きつけることができます。そして、相手が聞く姿勢になってから、製品の説明へと進めていきます。
単に製品説明を始めるよりも、興味を持たせてから説明を行うことで、より真剣にあなたの話を聞くようになります。このように、バンドワゴン効果をうまく利用することで、セールス活動の質を高めることができます。
しかし、このバンドワゴン効果だけでは、お客様の購入を決断させることはできません。そのため、あなたが扱う製品に対して、お客様の注目を集めたいときに使うと効果的です。
そこで私は、アポイントを取るときに、このテクニックを有効に使っています。
お客様の興味を高めて簡単にアポイントを取る方法
訪問のアポイントを取るコツは、お客様にメリットを意識させることです。「新製品が発売されるので紹介させて欲しい」と営業マンの都合だけを伝えても、お客様は時間を取ってはくれません。
お客様自身に、「もしかしたら、自分にとって役に立つ製品かも知れない。話を聞いてみたいので、営業担当に来てもらおう」と感じてもらう必要があります。そこで私は、バンドワゴン効果を使って製品を魅力的に伝える工夫をしています。
例えば、「非常に多くのお客様から、問い合わせが来ている製品です」「同じ金融業界のお客様が、導入を検討していることが多いサービスです」というように商品を案内します。
最初に、「他の大勢の人が注目している製品である」という事実を伝えるのです。そうすることで、「きっと役に立つ製品なのだろう」と感じさせることができます。
その後に、「御社にとっても導入効果が見込める製品です。ぜひ、ご提案の時間をいただけませんでしょうか」というようにアポイントを依頼します。既に製品にメリットを感じているため、アポイントを取れる確率が格段にあがります。
このように、伝え方をひとつ工夫するだけで、お客様の関心を高めることができます。感情を動かすことで、お客様は製品を買ってくれます。営業マンは、どうすればお客様の心が動くのかを真剣に考える必要があります。