営業学入門

営業マニュアルによってコミュニケーション・スキルを上げるコツ

経験の浅い新人営業マンは、お客様との会話がスムーズに運びません。それは、スキルではなく経験が浅いからです。ベテランの営業マンは、「お客様がこう言ってきたら、こう返すのが良い」というのを経験から学んでいます。そのため、会話がスムーズに進むのです。

実は、お客様のリアクションは、いくつかのパターンに限られています。

例えば、アポイントを打診したときに、「最近、忙しいので時間が取れません」という断り方が非常に多いです。また、見積を提示したときに、「ちょっと予算に合わないかも知れないですね」と金額が高いことを、遠回しに伝えるケースがよくあります。

そこで前もって、「こう言われたら、こう返す」という返答を、自分の中で定型化しておきます。それをノートに書き出しておいて、覚えこんでいきます。つまり、自分だけの「営業マニュアル」を作るのです。

私はこの独自のマニュアルによって、営業マンとして成長できたことを実感しています。そこで、ここでは営業マニュアルの作り方とその効果について解説します。

営業マニュアルの作り方
お客様とのコミュニケーションおいて「このパターンは良くある」と感じたら、そのやりとりをノートに書き留めておくようにします。

例えば、新規顧客へのアポイントを取るときに非常に多いのが、「いま別の業者さんから購入しているので結構です」とい返事です。これに対して、自分がどう返すと、お客様はどう反応することが多いかを書き残しておきます。

例えば、「そうですか、今お付き合いの業者さんがいらっしゃるのですね。そこの業者さんでなければいけない理由がおありなのでしょうか?」と聞いてみます。すると、「いえ、特別な事情がある訳ではないんですが……」と業者を限定する理由のないケースがほとんどです。

そこで、「よろしければ弊社が扱う製品と一度比較をしていただけませんでしょうか。価格比較の対象でも構いませんので、ご提案の機会を頂きたいと思っております」と続けます。

すると、「じゃあ、話しだけでも聞いてみたいと思います」とアポイントを取ることができるはずです。実は、「別の業者がいるから」というのは単なる断り文句だったのです。

また、業者を変えることができない場合には、「資本提携先の業者であるから」「社長同士が古くからの知り合いなので」といった事情が多くありました。

このような、一連の問答をマニュアルとして書き溜めていくのです。

<例>営業マニュアル

<営業学>

営業マニュアルを随時アップデートさせていく

この営業マニュアルがあることで、余裕を持ってお客様と接することができます。「答えが準備されている」という安心感が生まれるからです。

さらに、マニュアルは信頼関係を築くのにも大きく役立ちます。なぜなら、お客様とのコミュニケーションで迷うことが少なくなるからです。事前に用意された言葉を瞬時に返すことで、お客様には「経験豊富な営業マン」に映ります。

「お客様にどう返そうか?」と迷っていると、会話が途切れてしまいます。言葉に詰まってしまうと、頼りない営業マンに見えます。

この営業マニュアルは、一度作ったら終わりではありません。例えば、「こっちの言葉を使った方が、お客様の反応が良かった」と感じたら修正を加えます。このように、日々の営業活動で得た「新たな気付き」を加えていくことで、より完成度の高いもにしていきます。

そして、マニュアルが充実するに伴って、あなたの営業スキルも向上していきます。ぜひ、あなたもこの営業マニュアルを取り入れてみてください。