価格は人の購買心理に大きな影響を与えます。安価な製品は実際の品質に関係なく、信頼に欠けます。お客様は「安ければ良い」とは考えていないのです。一方、高額な製品は、その価格に見合った品質であると多くの人が考えます。
例えば、健康食品です。コンビニで購入できる数百円のものよりも、薬局で販売している数万円の商品のほうが効果は高いと多くの人が考えます。
私も栄養ドリンクを買うときは、1,000円以上なら効きそうな気がして、つい高いものを選んでしまいます。
このように、商品の価格が高ければ、満足度も高いと思い込む傾向があります。これを心理学で、「ヴェブレン効果」といいます。
価格は商品の価値を決める要素のひとつである
ヴェブレン効果は、アメリカの経済学者であるソースティン・ヴェブレンが著書の中で提唱した理論に由来しています。それは、「富裕層の人々は実用のためよりも、お金があることを周りに示すために消費を行っている」という主張です。
例えば、高級ブランドの製品です。高額な製品を持つことで優越感を得たいと考える人には、このヴェブレン効果が強く働いているといえます。実際の製品の質よりも、価格が大きな影響を与えているのです。
私は営業のセミナーに参加します。セミナーを選ぶときの基準は、もちろん内容重視です。しかし、参加費用が「無料」のものは、なぜか中身が薄いような印象を受けてしまいます。
一方、参加費数万円というセミナーがあれば、内容が充実していて満足度も高いと考えてしまうのです。高額な価格設定が、ブランドになっているのです。
また、セミナーでは「特別席」や「VIP席」などが用意されることがあります。通常の席よりもかなり高額に設定しても、真っ先に完売するといわれています。これも、他の人よりも優越感を得たいと思う習性が関係しています。
このように考えると、価格は製品を特徴づける重要な要素であるということができます。
例えば、お客様から値下げを要求されたとします。このとき、契約が欲しいために簡単に値引きをしてしまうと、製品の価値が下がってしまいます。そのため、お客様の購買意欲を下げてしまうことに繋がります。
このように、人は製品自体の品質だけではなく、価格にも大きな影響を受けています。この心理を理解することで、提案の幅を広げることができます。お客様は製品のどこに魅力を感じるかを、営業マンは真剣に考える必要があります。