営業マンは、お客様に商品の魅力を伝える必要があります。このとき、多くの営業マンが、「いかに製品の良さを伝えるか」について頭を悩ませます。考えられる全てのメリットを説明して、何とか相手に納得してもらおうとします。
しかし、あえて多くの情報を与えないことで、お客様の関心を高めることができます。
これは、人間は完全なものよりも、不完全なものに対して興味を持つ傾向があるからです。これを心理学で、「ツァイガルニック効果」といいます。
この心理を応用することでお客様の関心を高め、商談の成果をあげることができます。その理由について、以下の動画で具体的な例をあげて解説しています。
全てを伝えないことが相手の関心を高める
例えば、テレビのクイズ番組で、「答えはCMの後で」といったフレーズを良く耳にします。番組の視聴者はクイズの解答が気になり、チャンネルを変えられなくなるのです。
視聴者は「クイズの内容は聞いているが、その答えが分からない」という不完全な状態です。そのため、クイズの答えに対する興味が高まり、どうしても知りたくなるのです。テレビ番組側はこの心理を利用して、他のチャンネルに変えられるのを防ごうとしているのです。
また、ドラマの次回予告や映画のダイジェスト紹介など、全体の一部を見せることで、その興味を高めるという手法もあります。
このように、ツァイガルニック効果は日常のさまざまな場面で使われています。
お客様の関心を高めることが商談のカギをにぎる
お客様へのアプローチにおいて、ツァイガルニック効果の有効な活用方法があります。それは、あえて営業をしないということです。お客様先に訪問しておきながら、いっさい商品やサービスの話をせず、雑談ばかりを続けます。
そうなると、「この営業マンはなぜ製品の話をしないのだろう」とお客様は疑問を持ちます。つまり、製品の話をしないことによって、製品に対する関心を高めることができるのです。相手の興味を高めてから話をすれば、プレゼンの効率を格段に高めることが可能です。
また、セールスをしないことに耐えられず、お客様のほうから持ちかけてくることもあります。例えば、「営業に来たのですよね。どんな製品を扱っているのですか」というように、声をかけてくるのです。
お客様は、「営業マンは商品を売り込む人」というイメージを持っています。そこで、あえて営業をしないことで、不完全な営業をつくり上げるのです。
また、テレアポにおいても効果があります。電話では必ず、製品の概要説明にとどめます。あえて詳しい説明をしないことで、製品に対する関心を高めるのです。例えば、次のようなアプローチです。
「商品の全てを電話で伝えることは難しいので、直接ご説明させていただけませんか」
このように、「最後まで話を聞きたい」という状況を作り上げることで、商品に対する興味を高めるのです。そうすることで、アポイントが取れやすくなります。
営業で大切なことは、商品に興味を持っていただくことです。お客様に関心がなければ、どんなに素晴らしい商品でも売れることはありません。営業マンは、「いかにお客様の興味を高めるか」を考えなければいけません。
ここで解説した「ツァイガルニック効果」による心理的影響を理解して、お客様の関心を高めるスキルを身につけてください。