営業マンはお客様に製品の良さを理解していただく必要があります。そこで重要になるのが、伝え方です。どんなに優れた製品でも、伝え方が悪ければお客様が納得することはありません。
そして商品やサービスを説明するときに、「たとえ話」を使うと効果的です。お客様がイメージしやすい内容に置き換えてあげることで、説得力を高めることができるからです。たとえ話による商品の宣伝やアピールは、日常のあらゆるところで見ることができます。
例えば、広さを伝えるときに「東京ドームの20個分の広さになります」という表現をします。これは、東京ドームの「大きくて広い球場」というイメージを利用しているのです
このように、人が持っているイメージによって、その印象が大きく影響されます。これを心理学で、「シャルパンティエ効果」といいます。
商品を効果的に伝える技術
このシャルパンティエ効果は、マーケティングの世界で頻繁に使われてます。例えば、飲料水の宣伝でよくみかける次のようなフレーズです。
「レモン10個分のビタミンCが含まれています」
実際は、レモン10個分のビタミンCは200ミリグラム程度です。しかし、「ビタミンCが200ミリグラム入っています」と言われても、多くの人はしっくりきません。これは、ビタミンCの含有量という数字に馴染みがないからです。
そこで、レモンに例えます。一般的に、「レモンにはビタミンCが豊富に含まれている」というイメージが強いため、それを利用しているのです。
このように、お客様がイメージしやすいものに例えることで、商品のメリットをより強くアピールすることができます。
相手が想像できる言葉で伝える
私がIT業界で営業を行っていたとき、このシャルパンティエ効果をうまく活用していました。このとき提案では、「ITシステムの導入によって業務を効率化しましょう」という内容が多かったのです。しかし、「効率化」というのは目に見えないものですので、導入効果を理解してもらうのに非常に苦労します。
そこで、私は次のように説明をしていました。
「このシステムによって全体の約2割の作業を自動化することができます。今の業務メンバーが5名ですので、1人分の仕事量が軽減できると思ってください」
この「一人分の仕事量」というのは、自分の日々の仕事量ですので、誰でも鮮明にイメージできます。このように、どんなお客様でも想像できることに例えるのです。
このように、伝え方を工夫することで、商品の魅力を高めることができます。そうすることで、説得力のある提案を行うことができます。どのように伝えれば相手が理解できるのかを、営業マンは真剣に考える必要があります。