お客様に製品の良さを伝えることが営業マンの仕事です。相手の視点にたって、分かりやすく伝えることが必要になります。
そこで前提となるのが、「お客様の知識」です。例えば、知識が全くない人に対しては、基礎的な部分から説明をする必要があります。相手の知識量によって、話の内容を変えていかなければなりません。
特に注意したいのが「専門用語」です。営業マン自身は普段から専門用語を使っているため、つい説明をせずに話を進めがちです。しかし、お客様にとっては初めて耳にする単語ということもあります。
言葉の意味が分からなければ、あなたの説明が通じるわけがありません。専門用語に対しては十分な注意が必要になります。
お客様は知っているふりをする
頷きながら話を聞いていたとしても、お客様が内容を理解しているとは限りません。お客様は言葉の意味をいちいち確認したりしないからです。
説明の中で不明な専門用語が出てきても、その都度確認するお客様は多くはいません。営業マンが話しているのを邪魔しては悪いと思うか、いちいち聞くのが面倒だからです。
そのため、「この営業マンが言っていることはよく分からない。とにかく説明が終わるまで聞いている振りをして、理由をつけて断ろう」という考えになります。
そこで、難しい用語や専門的な言葉に関しては、しっかりと説明する必要があります。理解できない単語が出てくるとお客様の思考が止まってしまうからです。例えば、次のようにな会話です。
「こちらの複合機にはトリミング機能がついておりますので、雑誌や週刊誌などをコピーすることが多い御社にピッタリの製品です」
「……(トリミング?)」
これでは、お客様に製品の良さを伝えることはできません。相手が知らないことを前提に、専門用語の説明をしてから話を進める必要があります。そうすることで、以下のような丁寧な説明になります。
「原稿の中で指定した範囲だけを抜き出してコピーする機能をトリミング機能といいます。このトリミング機能がついたこちらの複合機は、雑誌や週刊誌などをコピーすることが多い御社の業務にピッタリの製品です」
「なるほど確かに便利な機能だ」
相手が知っているかどうかを気にする必要はありません。間違った認識を持っていたり、捉え方が異なっていたりすることがあるからです。そのため、製品を説明するために必要な専門用語は、相手に正しく理解してもらう必要があります。
お客様の身近な表現におきかえて繰り返す
専門用語の説明をおこなっても、お客様が製品の良さを理解できるとは限りません。その機能が、実際にどう役立つのかが想像できないからです。そこで、具体的にイメージさせるため、以下のような説明を加えます
「例えば、紙面に多くの記事があって、その中のひとつだけをコピーしたいときがあると思います。その記事が左下の隅にあるとすれば、その箇所をコピー機で指定できるようになっています。すると、その記事だけがコピーされます。他の箇所は写りませんので、特定の記事だけを保管しておきたい場合に便利な機能です」
このように、お客様の利用状況にあわせてイメージがつきやすい例で説明します。お客様にとって利便性の高い「ポイントとなる機能」であれば、分かりやすく丁寧に説明することを心がけます。
さらに、別の例えや表現に変えて繰り返し説明することで、相手の理解度を深めることができます。例えば、次のような話し方です。
「気に入った図面だけを残しておくことができます」
「好ましくない記事などを除いてコピーすることができます」
このように、セールスポイントとなる重要なことは、言い方を変えて何度も伝えるようにします。一度説明しただけでは、お客様の心に残らないからです。
製品の説明を始める前に、お客様にどの程度の知識があるのかを考える必要があります。「これぐらいは知っているだろう」という考えでは、セールスはできません。特に専門用語に関しては、営業マンは気を配る必要があります。
どうしたら製品の良さが伝わるのかを真剣に考えて、製品説明を行うことが求められます。