営業学入門

商談件数が多い営業マンの商談を作るたったひとつのコツ

目標を達成する営業マンに共通していることは、商談の件数が多いということです。全ての商談が、契約に至ることはありません。

そのため、商談の件数が多ければ多いほど、目標達成の確率が高くなります。このことを常に意識していて、数を増やすことに注力しています。

一方で、数字をクリアできない営業マンは、商談件数が圧倒的に少ないです。両者の担当するお客様の数や、扱っている商品は同じです。

それでも、商談の件数には大きな差が生まれます。この差は一体、どこからくるのでしょうか。

それは、「商談を作る力」です。デキる営業マンは、提案に繋がる糸口を見つけることに優れています。そのため、商談の件数が多いのです。

営業マンに必須である商談の糸口を見つけ出す能力

ダメ営業マンに目標達成ができない理由を聞くと、必ず次のような返事が返ってきます。

「目標をクリアできている営業マンは、顧客に恵まれているからです。ただ、自分が担当しているお客様はどこも見込みがなく、全く商談がありません」

このように、割振りされたお客様の責任にするのです。

しかし、そのようなことはありません。

トップ営業マンが担当する顧客でも、買わないお客様は買いません。ダメ営業マンが、ポテンシャルの低いお客様ばかりを担当している訳ではありません。

条件は一緒なのです。

それでは、なぜ数字を達成している人は、多くの商談を持つことができるのでしょうか。それは、商談を見つけだす能力が高いからです。色々な会話を行うなかで、お客様の言葉から提案につながるヒントを見つけるのがうまいのです。

例えば、法人営業で総務部の担当者との会話を例にあげます。

お客 「今年は新卒が10人も入社したのですよ」

営業 「今年は、結構な人数を採用されたのですね」

お客 「はい。さらに中途採用でも、人を増やす予定です」

営業 「そうですか。ところで、新卒入社の10名のうち営業部へは何名配属されるのでしょうか? 御社の営業社員は、ひとり一台のノートパソコンをお持ちですよね。そのパソコンは、既に手配されていますか?」

このように何気ない会話の中からも、提案に繋がる糸口を見つけ出して、商談につなげていくことができるのです。商談件数が多いのは、この「発掘する能力」が高いためです。

商談に繋がる糸口の見つけ方

そして、この能力を向上させる方法があります。それは、お客様の未来を予測することです。まるで連想ゲームのように、お客様がどうなるかを考えていくのです。先程の例で説明します。

「10人の新卒が入社する」

するとお客様はどうなる?

「営業部にも何名か配属されるかもしれない」

するとお客様はどうなる?

「営業部で使っているノートパソコンが必要になる」

このように、お客様の未来がどうなるかを頭の中で膨らませていくのです。そうすることで、あなたの商談につながるヒントが発見できるようになります。お客様との商談中は、この連想ゲームを行いながら話を進めていきます。

もちろん、商談の糸口を探す作業は、商談中でなくてもできます。私は商談が終わり、事務所に戻る途中の電車の中などで、その日の会話を振り返ります。その時に、お客様の未来を予測しながら、提案のきっかけ探しを行っています。

お客様から離れることで余裕ができます。そして、この余裕が想像力を高めてくれます。そのため、私の提案ネタは、帰りの電車の中で生まれることが多いです。

この商談を発掘する力は、何度も繰り返すことで向上していきます。想像力が鍛えられ、お客様に何が必要なのかが見えるようになっていきます。

そうすることで、お客様が口にしない「ニーズ」を発見できるようになります。お客様は、自分が必要な物を全て理解しているとは限りません。

このように、お客様が「将来どうなるのか」を予測することで、提案の機会を見つけることができます。デキる営業マンは、このようにして商談件数を増やし、数字を達成しているのです。