営業活動において、お客様と信頼関係を構築することは大切です。営業マンであれば、誰もが一度は耳にしたことのある言葉でしょう。それでは、具体的に何をすればお客様に信頼されるのでしょうか。
そのひとつに、「お客様に商品を売らない」という行為があります。なぜ、営業をしているのに「商品を売らない人」が信用されるのか、という疑問を感じたと思います。
これは、お客様に「購入しない方が良いですよ」という提案ができる営業マンのことを指しているのです。
多くの営業マンは、売上が欲しいあまり何とかして商品を売ろうと懸命になります。そのような中で、お客様のニーズに合っていないと判断したら、営業マンから提案を断ることができる人は信頼されるのです。
売り上げのためではなくお客様のことを第一に考えると、販売を断ることが正しい場合があります。このような、人として正しい判断ができる営業マンがお客様から信用されるのです。
そして、お客様からの信頼を得ることができれば、お客様から声がかかるようになります。つまり、営業マンからアプローチをしなくても、お客様から提案の機会をもらえるようになるのです。
目の前の売上を上げることに懸命になるよりも、お客様の信頼を獲得するほうが、売上に困らなくなるための近道なのです。
私が感動した売り込まない販売員
私は趣味でサイクリングをやっています。あるロードレース大会に参加するにあたり、ドリンクホルダーを買うことにしました。ドリンクホルダーとは、自転車の本体に水筒を取り付けるためのアクセサリーです。
サイクリングショップに買いに行くと、何種類ものドリンクホルダーが置いてあります。私は、どれを選べば良いのか分からなかったので、店員に聞いてみました。そして、自転車のサイズなどを伝えて、最適な物を選んでもらいました。
さらに、同じ製品棚に、ホルダー専用の空冷ボトルも並んでいたので、「やはり皆さん、この専用のボトルを使われているのですか?」と質問しました。
そうすると、その店員は「そうですね、買われるかたは多いです。でも、お客様が購入されるホルダーですと、通常のペットボトルでも装着できるようになっています。ですから、無理をして専用ボトルを買う必要は無いですよ」と説明しくれたのです。
私は店員が、「買わないことを勧めた」ことに感動しました。私自身が営業をやっていることもあり、「どのように空冷ボトルを勧めてくるのか」と身構えていたのです。普通の販売員であれば、製品のメリットを説明するなどして、何とか商品を買ってもらおうとします。
しかし、その店員は完全に、「お客様」に目を向けていました。
必要ない人に、無理に商品を勧めないという正しい選択をしたのです。その説明を聞いた瞬間、「この店員さんは信用できる」と確信しました。
そして私は、今後、自転車関連で何か購入するときは、「この人から買うことにしよう」と心から思えたのです。
営業マンやショップの販売員が、自分が扱っている製品に対して、「買わないほうがいいですよ」と言うのは非常に勇気がいることです。自分の仕事に、圧倒的な自信を持っていなければ出来ません。
しかし、そのような心構えで仕事に取り組んでいる姿勢が、お客様の信頼に繋がることを理解しなければいけません。
どのようにしたら「売れるか」ではなく、どうすれば「お客様に信頼されるか」を考え、あなたの日々の営業活動を振り返ってみてください。