企業ブランドや商品力が与える影響は大きいです。しかし、多くの営業マンはこのことを理解していません。そのため、商談が成立したときは自分の営業スキルを過大評価します。
お客様は営業マンの提案内容だけをみて契約を決めることはありません。その企業の信頼性や商品の価値を考えて、総合的に判断しているのです。
この事実を認識したうえで、自分の営業活動を振り返ることが重要です。そうすることで、「営業職として何が足りていないのか」に気づくことができます。それを改善していくことが営業としての成長に繋がるのです。
お客様が商品を購入するときの3つの要素
お客様が商品やサービスの購入を決意する理由には、3つの要素があります。それは、「会社のブランド」「商品力」「営業マンの信頼」です。
最初の「会社のブランド」とは、その企業の信頼性や知名度です。例えば、上場している会社であれば、一定の業績をあげていることが分かります。信頼できる企業の製品を、お客様は安心して選定することができます。
次の「商品力」とは、製品の価値やそこから生まれるメリットです。商品がニーズを満たしてくれるのであれば、お客様は迷わず購入することができます。
最後に「営業マンの信頼」です。お客様は、「この営業マンはお金を払う相手として相応しいかどうか」を判断します。製品に問題があっても、しっかりと対応してくれる営業マンと思ってもらうことで、お客様は契約することができるのです。
この3つの要素は、全てが必要になるわけではありません。例えば、「企業のブランド」だけで製品が売れることがあります。「商品力」が優れていれば、営業をしなくても契約数が増えることもあります。
つまり、営業マンの提案とは関係なく、製品が売れていくことがあるのです。多くの営業マンは、この現実を理解していません。売り上げの全てが、自分の営業活動の成果であると勘違いします。
そして成績が悪い営業マンであるほど、この傾向は顕著です。自分の実力を過大評価してしまうため、努力をする必要性を感じることができません。そのため、営業スキルが向上することはなく、継続的に売り上げをだすことができないのです。
製品が売れれば良いわけではない
売り上げがあがっていても、「何が良かったのか」を把握することが大切です。それを知るには顧客に直接聞くことが最も確実です。注文をいただいたときに、以下のようにヒヤリングすればお客様は答えてくれます。
「この度はご契約いただきましてありがとうございます。ご参考までに、ご契約を決めていただいた理由をお伺いできますか」
このとき、お客様の回答に「営業マンの信頼」の要素がないときは、営業マンとしては素直に喜んではいけません。「製品が良かったから」「御社とは長い付き合いだから」という回答しかない場合は、営業マンとしての存在価値がなかったことになるからです。
例えば、以下のように営業マンに関する理由がなければいけません。
「提案してくれたオプションサービスが、自分が探していたものにピッタリだった」
この場合は、相手のニーズにあった提案を行った「営業マンの信頼」と、オプションサービスという「商品力」の2つの要素が含まれています。
このように、あなたの提案活動が選定理由に含まれていなければなりません。製品の良さだけで決めたのであれば、ネットショッピングから購入するのと変わりません。何のために営業マンが存在するのかを考える必要があります。
営業マンは、「製品が売れれば良い」というわけではありません。「なぜお客様は契約をしたのか」を知ることが大切です。その理由の中に、「営業活動の成果」がなければ反省する必要があります。これが営業マンとしての成長に繋がるのです。