営業の販売戦略論

「紹介営業」で数字を伸ばすために必要な営業マンのマインドセット

保険や不動産の営業において、鍵を握るのが紹介営業です。営業マン個人の交友範囲だけでは、人脈に限界があるからです。そのため、数字を伸ばすためには、お客様から「お客様」を紹介してもらうことが大切です。

ただ、ほとんどの営業マンが紹介をもらうことを苦手としています。これは、どのように伝えたら相手が紹介しやすいかを考えていないからです。

お客様から「お客様」を紹介してもらうときのポイントは、あなたの商品の対象となる「お客様像」を伝えてあげることです。お客様となる可能性がある人物像を伝えてあげることで、相手は紹介しやすくなるのです。

ここでは、お客様から紹介をもらうために必要とされる考え方について解説していきます。

買うか分からない人を紹介してもらう

営業の書籍には、「積極的にお客様に紹介を依頼することが大切」といことが良く書かれています。しかし、お客様に依頼したとしても、そう簡単に紹介してくれる訳ではありません。

例えば、あなたが知人から次のように言われたら、どのように感じますか。

「保険の営業マンをやっています。保険を探している人がいたら紹介してもらえませんか」

このように聞かれて、すぐに知り合いを紹介できる人は稀です。「今、まさに加入したくて保険を探しているところです」という人が、常に身の回りに居るとは限りません。それよりも、居ないほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。

私も過去に何度も聞かれましたが、一度も紹介できたことはありません。これは、「商品を買おうとしている人」を求めている営業マンに原因があります。

「すぐにでも買いたい」と考えている人は全体の2割しかいません。そして、「買うかどうか分からない」お客様が6割を占めています。残りの2割が、「買わない(ニーズが合わない)」人です。

・すぐにでも買いたい 2割
・買うかどうか分からない 6割
・買わない      2割

2割しかいない「すぐにでも買いたい人」を探すから、紹介をもらえないのです。そうではなく、全体の6割を占める「買うかどうか分からない人」をターゲットにすればよいのです。

欲しがっている人ではなく「人物像」を伝える

他のお客様を紹介して欲しければ、あなたが扱う商品のターゲットとなる「人物像」を伝えるようにしてください。例えば、保険営業であれば、以下のように伝えます。

「小学校1年から3年生までのお子さんをお持ちの方」

「町内会やPTAのメンバーになっているご両親」

このように、相手が具体的にイメージできるように説明します。そうすると、「小学校4年生ですけど近所にいるので声をかけてみます」というように反応が返っててきやすいのです。

つまり、全体の6割を占める「買うかどうか分からない人」を紹介してもらうのです。そして、そのお客様に製品の魅力を伝えて「買いたい人」に変えてあげれば良いのです。

多くの人は、「保険の加入を検討している人」を見つけようとします。ただ、すぐに買おうとしているお客様は圧倒的に少数です。だから、あなたのお客様は誰も紹介することができないのです。

お客様が知人を引き合わせやすいように、あなたが扱う商品のターゲットとなる「人物像」を伝えるようにしてください。これを実践することで、紹介営業による見込み客を大幅に増やすことができます。

営業マンは、「どのように伝えたら相手が紹介しやすいか」を意識するようにしてください。営業は相手の立場になって考えることが大切と言われる理由を、真剣に考えなければいけません。