確実に法人営業の新規開拓を成功させる2ステップ
なぜ、法人営業の新規開拓は難しいのでしょうか。それは、お客様は既に別の業者と取引を行なっているケースが多いからです。そのため、新規開拓のアプローチは断れてしまうことがほとんどです。
それでは、他の業者と取引がある法人のお客様は、攻略することはできないのでしょうか。そんなことは、ありません。実は、法人営業の新規開拓には正しいフローが存在します。この手順に従ってアプローチすることで、新規開拓を高い確率で実現することができます。
ここでは、法人営業の新規開拓を確実に成功させるための2ステップについて解説をしていきます。
既存の取引業者がいるのは当たり前である
法人のお客様へ新規に訪問したとき、あなたの会社との取引が、そのまま受け入れられることはありません。前述のとおり、既に取引をしている別の業者がいるからです。そのため、どのような分野の取引であっても、次のような返事が返ってきます。
「○○でしたら既に鈴木商事様と取引をしておりますので間に合っています」
営業マンであれば、誰でも耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。しかし、ここで諦めてしまっては、新規開拓が成功するはずはありません。それでは、このような返事をもらった場合には、営業マンはどのように対応をすれば良いのでしょうか。
最も大切なことは、「既存の業者」に対する考え方を変えることです。
まず、法人のお客様には、「既存の取引業者がいるのは当たり前である」という認識を持ってください。これは、あなたが勤めている会社で置き換えて考えてみると分かりやすいです。
例えば、あなたの会社に業務用のコピー機があると思います。そのコピー機というのは、いつも特定の業者から購入したり、メンテナンスをしてもらったりしているはずです。その都度、別の業者に相談するのではなく、ひとつの取引先に絞っているはずです。
そして、コピー機に限らず、どのような製品でもあっても、特定の取引業者がいるはずです。このように、あなたの会社に置き換えて考えれば、「既存の取引業者がいるのは当たり前である」という事実に納得できると思います。
また、この法人企業の現状を正しく理解することで、「別の業者がいますので」と言われても、営業マンは諦める必要がないことが分かります。
つまり、法人営業の新規開拓は、競合する別の業者がいることを前提としてアプローチしなければならなのです。それでは、具体的にどのようなステップを踏んで、新規開拓を進めていけば良いのでしょうか。
新規開拓の具体的な2ステップ
営業の新規開拓を実現するまでに必要な活動は、2つのステップに分けて考えることができます。最初にお客様の現状を深掘りすることです。そして、そこからお客様の不満を見つけだし、提案の土台に乗らせてもらうことです。
ステップ1:現状を深掘りしていく
ステップ2:提案の土台に乗せてもらう
それでは、新規開拓を成功に導く、この2ステップの詳細について解説をしていきます。
・ステップ1 現状を深掘りしていく
最初に扱っている商品やサービスの現状を細かくヒヤリングしていきます。例えば、あなたがコピー機の営業マンだとします。別の業者と契約しているのであれば、現状どのようにコピー機を使えているかを確認するのです。例えば、次のような質問です。
「コピー機の使い勝手にご不満はないでしょうか」
「現状のサポート対応には満足されておりますか」
「トナー代などで年間にかかる費用は高くないでしょうか」
このときのポイントは、商品に関わる全ての項目に関してヒヤリングすることです。全ての項目というのは、「機能面」や「コスト面」、「サポート内容」というような製品を利用するうえで関わる要素です。
もちろん、あなたが扱っている商品ですから、現状の利用状況を確認するためのヒヤリング項目は理解していなければいけません。そして、細かく聞いていくほど、必ず不満な点が出てきます。どのようなお客様であっても、現状の製品やサービスに対する不満は存在するものです。
なぜなら、現状に100%満足しているお客様などいないからです。
例えば、あなたが使っている携帯電話について考えてみてください。100%完全に満足しているでしょうか。月額の利用料金をもう少し安くして欲しいと感じたり、通信費が気になってネットを思うように使えていなかったりというように、何かしらの不満があるはずです。
このような、お客様が抱えている現在の不満を見つけるのです。ステップ1では、ヒヤリングによって現状を深掘りすることで、お客様の不満を見つけることが目的なのです。
・ステップ2 提案の土台に乗らせてもらう
お客様の不満を見つけだしたら、そこから自社製品の提案に繋げていきます。あなたが扱っている商品との比較によって、提案の機会をいただくのです。例えば、次のようなアプローチ方法です。
「トナー代やメンテナンスで発生する年間のコストが高いと感じているのですね。弊社の年間サポートをご利用いただければトナー代も割安になります。ぜひコスト削除の提案をさせていただけませんか」
このように、お客様が感じている現状の不満から、何とか提案に繋げていくのです。そのためには、「自社製品のメリットが頭に入っている」という、営業マンとしての基本ができている必要があることは言うまでもありません。
そして、ステップ2で重要なことは、契約をもらうことではなく、提案の土台に乗らせてもらうことです。
つまり、提案した案件は、失注しても問題ありません。既存の業者がいるなかで、コンペのうちの一社に加えてもらうことが目的なのです。なぜなら、一度でも提案をさせてもらうことで、その後にお客様から声がかかりやすくなるからです。
このときのポイントは、最初の提案では全力を尽くすことです。120%勝ち目がない商談だと分かっていても、お客様の役に立つ提案を懸命に行なってください。そうすることで、お客様に営業マンとして信頼されることができます。
つまり、「こちらのニーズに応えてくれる営業マン」というイメージをお客様に持ってもらうのです。そうすることで、お客様は別の提案の機会にも、その営業マンに声をかけるのです。ステップ2の最終的な目標は、ここにあるのです。
継続的に提案をさせてもらえる土台を作り、時間をかけて既存の取引業者を排除していけば良いのです。
これが、新規開拓を実現するための2ステップによるアプローチです。多くの営業マンは、アプローチを行なって、すぐに新規の取引を求めようとします。ただ、法人営業において、一回目の提案からいきなり契約に繋がることはまずありません。
ここで解説してきた新規開拓の2ステップのとおり、正しい順序で、そして時間をかけて攻略する必要があります。法人営業の新規開拓において何が必要かを考えて、あなたの日々の営業活動を振り返ってみてください。