法人営業の基礎

法人営業戦略の基本:キーマンに合わせた商談の進め方を理解する

法人営業戦略の基本:キーマンに合わせた商談の進め方を理解する

法人営業で売上を上げるためには、お客様の企業を理解することが大切です。具体的には、プロジェクトに登場する人物達の組織における上下関係や力関係です。これを意識することで、各キーマンにどのようにアプローチするかが決まってくるからです。

このとき、営業マンが最も意識しなければいけないのが、各担当者のミッションです。

お客様が担当する役割によって、その業務目標は変わってきます。つまり、各キーマンによって「何のために仕事をしているか」が異なるのです。当然、営業マンはこれを理解したうえで提案を行なわなければいけません。

ここでは、商談に関わる登場人物に合わせた商談の進め方について解説していきます。

 キーマンの業務目標を理解する
われわれ営業マンの業務目標は、与えられた営業予算を達成することです。これと同じように担当している業務によって、それぞれの目標が存在します。

例えば、購買部の担当者であれば、適正な処理で正しい取引を行なうことが業務の一つです。そのため、商談を進めていて購買部と契約のやりとりを行なうときには、担当者の業務がスムーズに進むように意識してあげれば上手くいくのです。

このように、対応している目の前のお客様のミッションを理解することで、法人営業の商談を効率良く進めることができます。

例えば、コピー機の営業マンが業務部の担当者に提案を進めているとします。このとき、実際にコピー機を利用する業務部の人達に対しては、使いやすさや印刷の速度が向上したことによる利便性をアピールします。

しかし、コピー機導入の最終的な判断を行なうのが、財務部の事業部長である役員であるとします。このとき、コピー機を利用する業務部のユーザと、同じ説明をしても効果がありません。

なぜなら、取締役員の方は実際の使用感ではなく、会社が投資するに値するかという観点で判断するからです。つまり、両者は会社の中における業務目標が違っているのです。そのため、業務部の職員(ユーザ)とは違った提案の見せ方が必要になります。

このように言うと、「そのような対応は当たり前だ」と感じる営業マンは多いです。ただ、ほとんどの営業マンがユーザ向けの提案書だけで、稟議を通そうとしているのです。だからこそ、経営者や取締役の方の反応が鈍いケースが出てくるのです。

法人営業では、目の前にいるお客様の業務目標を意識するようにしてください。それに合わせた提案を行なうことで、商談は驚くほどスムーズに進んでいきます。

 法人営業の効果的アプローチとは
私がIT業界で法人営業を行なっていたときの話です。お客様の稟議の進捗によって、提案書をその都度、変えていました。

特に効果的であったのが、承認者や決裁者向けに費用対効果を示した資料を提示することです。ある商品を導入するのであれば、当然そのための費用が発生します。そして、その投資は会社にとって必要かどうかをプロジェクト担当者は説明しなければいけません。

そこで、お客様に代わって、その費用対効果を説明するための稟議資料を作成してあげるのです。

分かりやすい例を一つあげ、説明していきます。例えば、外出先でも見積りが作成できる新しい見積り作成システムを導入するとします。この新しいシステムによって営業マンの残業が減り、会社としては残業代の削減に繋がります。

このとき、削減された残業コストによって、システムの導入費用を何年で回収できるという資料を作成してあげるのです。

実際に実績があった他社の事例をデータとして提示できると効果的です。このように、承認者や決裁者が稟議を通すために必要な情報を営業マンが提示してあげるのです。そうすることで、お客様の稟議を前進させてクロージング近づけていくのです。

このように、キーマンによって提案するポイントを変える必要があります。各担当者によって業務が異なり、どのような情報を欲しがっているかが異なるからです。このキーマンが欲しがっている情報を営業マンが提供してあげるのです。

各キーマンの業務を把握したうえで商談を進めることが、法人営業の鍵を握ることを理解してください。