お客様とのコミュニケーション手段には、様々なものがあります。「直接あって話をする」「電話で会話をする」「メールでやりとりを行う」などです。営業マンは状況と伝える内容によって、その方法を選ぶ必要があります。
その中でも緊急性が高い場合は、電話が適しています。今は、ひとり一台の携帯を持っている企業も多いので、コンタクトを取ることが簡単です。個々の携帯がなくても、事務所に電話をすれば捕まえることができます。すぐに伝えたいことを、電話で話すことができます。
しかし、電話で話した内容は履歴に残りません。
そこで、私が電話のあとに実施している一つのルールがあります。それは、「会話の内容を要約してメールで送る」ことです。これによって、お客様とのコミュニケーションのミスを極力なくすことができます。
ここでは私がこのルールを実践している目的と、その理由について話をしていきます。
電話とメールの「メリット」を活用する
電話でお客様と会話をしたあとに、その内容を要約してメールで送る最大のメリットは「履歴に残る」ということです。これは、自分が話した内容の備忘録になります。さらに、お客様にとっても、そのメールが会話の内容を思い出す材料になります。
<例>電話の内容をメールという履歴に残す
件名:PC納期とプリンター修理日時について |
ビジネス商事 鈴木様
お世話になります。営業サービスの山田です。 先ほどの電話の件、以下にまとめます。 ・パソコンの納期は、3月5日で確定 宜しくお願い致します。 —————————————— |
電話は連絡手段として即効性があります。しかし、履歴に残らないというデメリットがあります。一方で、メールはやりとりの内容が残りますが、意思伝達のスピードが落ちます。この双方のメリットを活用するのです。
さらに、改めてメールの文面で読むことで、電話で話したときと違う気持ちになることがよくあります。話していたときには気付かなかったことに、気付くことができます。なぜなら、実際の会話というのは「声の大きさやトーン」などの要素が、相手の感情に与える影響が大きいからです。
例えば、声がうわずっていて、電話の冒頭から早口で、「どうしても週末には必要なのです。明日には発注しますので、コピー機を土曜の午前中に届けていただけませんか」と依頼をされたとします。
非常に困っている様子だったので、何とかして協力してあげたいという気持ちがうまれ、「間に合わせるように調整します」と回答をします。
しかし、時間をおいてから冷静に考えると、通常の納期が一週間ですので、間に合わないことに気付きます。相手の空気に押されて、正常な思考ができなかったのです。この場合、すぐに折り返しの電話を入れて納期が間に合わないことを謝罪しなければいけません。
このように、電話では相手の態度に流されてしまうことがあります。そのため、メールに残しておくことで、正しい判断ができる可能性が高まります。自分にとっても、お客様にとっても非常に効果があるのです。
電話の向こう側を想像して営業活動を行う
電話は、直接コンタクトが取れる可能性が高い反面、相手の都合を考慮できません。相手が何か他の作業を行なっていれば、それを中断させることになります。打ち合わせ中であれば、会議室の外にでて、電話に出ることになるかも知れません。
営業は常に、「お客様は忙しい」という前提で仕事を進めるべきです。例えば、電話で話しているときに、メモを取れない可能性があります。業務に追われていて、電話の内容をすぐに忘れてしまうことも考えられます。
そのために、あなたが代わりにメモを取るのです。電話の内容をまとめてメールを送ることで、それがお客様にとってのメモになるのです。
全責任を負うことで信頼関係が築かれる
営業が、お客様とコミュニケーションを取ることは重要です。しかし、お互いの意思や考えが、100%相手に正確に伝わることはありません。かならず伝わらない部分があるからです。
そのため、「そういう意味で言っているとは思わなかった」というような、すれ違いが発生します。このような状況で、商談がうまく進むことはありません。
コミュニケーションミスをなくすことも、営業の仕事です。認識のズレが生じた場合は、営業マンであるあなたに責任があると考えてください。
お客様が勘違いをしていたら、勘違いをさせたあなたが悪いのです。製品の機能が理解できていなかったら、分かりやすい説明ができない営業マンに責任があるのです。
全ての営業活動に対して、責任を持って取り組む必要があります。その姿勢がお客様に伝わることで、信頼関係が構築されていくのです。