営業の心理学

セルフハンディキャップ:あなたのプレゼンがお客様に響かない理由

知識が豊富で経験もあるのに、なぜかプレゼンテーションがうまくいかない営業マンがいます。それは、製品を魅力的に伝えることができていないからです。

プレゼンが苦手な営業マンに共通していることが、必要以上に謙遜するということです。「私のつたない説明で申し訳ございませんが……」というような言葉から始めます。

事前に苦手であることを伝えて、予防線を張っているのです。ここには、自分に対する評価が下がるのを防ごうとする心理が働いています。これを心理学で、「セルフハンディキャップ」といいます。

営業マンの自信が製品の良さを伝える

プレゼンテーションの成果は何よって決まるのでしょうか。もちろん、内容が重要であることに間違いはありません。お客様に分かりやすく、丁寧に説明することが営業マンには求められます。

しかし、お客様は意外と営業マンの話を聞いていないものです。説明している箇所とは別のページを見ていたり、頭の中で他のことを考えていたりします。

実は言葉以外の要素が大きな鍵になっています。それが営業マンの「自信」です。プレゼンに対する自信や、自社商品・サービスに対する自信です。それが場の空気を作り、プレゼンの成果を高めているのです。

自信がない営業マンのプレゼンは、決まって言い訳から入ります。例えば、次のようなフレーズです。

「詳しい資料がないので簡単な説明しかできませんが……」

「まだ発売したばかりの製品のため詳しい情報が……」

事前に事情を伝えておけば、自分は悪く思われないだろうと考えているのです。しかし、お客様にとっては、単なる言い訳にしか聞こえません。そのため、「準備不足」「モチベーションが低い」という印象を与えます。

これでは、プレゼンがうまくいかないのは明らかです。営業マンのプレゼンに対する姿勢や心構えが、成果に大きく影響しているのです。

プレゼンテーションを改善する方法

また、口癖や無意識にでる言動などにも注意が必要です。特に多いのが、以下のようなケースです。

「すいません、それでは次に進ませて頂きます」

「価格でしょうか。すいません、次のページに記載がございまして……」

緊張しているのか、口癖なのか、「すいません」を連発する人が多いです。これが、営業マンの印象を悪くしています。お客様には、頼りない営業マンに見えてしまうのです。

一種の癖になっているので、なかなか本人では気づきません。特にお客様先では夢中になって話しているので、自分の会話を客観的にみることができません。

そこで、私が実際におこなっていた、プレゼンの改善方法について説明します。それは、商談での自分の会話をスマートフォンで録音しておくことです。打ち合わせ後にそれを聞いて、自分のトークを振り返るのです。

こうすることで、自分の「お客様に対する話し方」を客観的に知ることができます。そして、自分の声のトーンや話すスピード、言葉使いなどが適切かをチェックします。

例えば、「声が細くて説得力がない。今後は腹から声を出すことを意識しよう」「会話の中で『あの~』が多すぎるので注意しよう」というように自己診断を行います。

こうすることで、自分の癖や悪い箇所に気づくことができます。後は、それを改善していけばよいのです。

ひとつの言葉や、何気ない言動で、お客様の信用を失うことがあります。これを理解することで、プレゼンで必要なことがみえてきます。自分の話し方を振り返り、改善するようにしてください。