予算達成している営業マンの特徴として、商談の件数が多いという点が挙げられます。数多くの商談を抱えているからこそ、安定して数字を残すことができるのです。
そして、予算を達成できない営業マンほど、やはり商談の件数が少ない傾向にあります。それでは、この商談件数の差は、一体どこから生まれるのでしょうか。
実は、「見込み客」の捉え方に原因があるのです。
商談件数の多い営業マンは、見込み客の捉え方が柔軟です。そのため、アプローチを行う見込み客の対象の幅が広いのです。対象の幅が広ければ、それだけアプローチの数も増え、商談に発展する可能性も高まります。
だからこそ、売れている営業マンの商談件数は、非常に多いのです。
それでは、具体的に「見込み客」をどのように捉えれば良いのでしょうか。ここでは、商談の件数に大きく影響を与える、見込み客の正しい捉え方について解説していきます。
見込み客の対象は柔軟に幅広く
商談が少ない営業マンは、営業活動を頭の中で完結してしまいます。実際に提案をしてもいないのに、お客様の反応を決めつけてしまうのです。例えば、次のような考え方です。
「このお客様は四人家族だからこの製品は合わない」
「この企業はネット通販がメイン事業だからこのサービスは必要ない」
このような考えが、お客様に対するアプローチを制限しているのです。そして、「このお客様には提案しても意味がない」という自分勝手な決めつけが、商談が少ない原因になっているのです。
しかし、本来は「買う、買わない」を決めるのはお客様です。営業マンの思い込みによって、お客様が購入するしないを判断してはいけないのです。
あなたの固定概念を捨て、見込み客の対象を幅広く柔軟に考えなければいけません。
例えば、車の販売員です。既に車を持っている人と、持っていないお客様がいるとします。このとき、多くの人は、「既に車を所有しているのであれば必要ない。持っていない人にアプローチしよう」と考えます。
しかし、実際はそうではありません。既に車を持っている人は、「車所有することの価値を認めているお客様」と捉えることができます。その金額に見合った価値があると判断したからこそ、何百万円という大金を払って購入しているのです。
つまり、商品の価値を十分に理解している「見込み客」であるということができます。
例えば、現在のもうひとつ上のランクの車種を勧めたり、家族が増えても乗ることができるワゴン車を紹介したりすることができます。このように、見込み客の捉え方を柔軟にすることで、提案の幅が広がり、商談の機会を増やすことができるのです。
一方、成績の上がらない営業マンであるほど、車を持っていない人に対してアプローチしようと考えます。しかし、こうした車をもっていない人は「車をもつことの重要性」を理解していないので、まずはここから説明しなければいけないのです。
つまり、提案としては、車を持っていない人の方が難しいのです。
このように、自分の勝手な思い込みによってアプローチを行うと非常に効率が悪いです。多くの人は「商品を持っていない方が売れる確率が高い」と決めつけますが、これは間違いです。
自分の考えに縛られず、柔軟に幅広く考えることかが「見込み客」の正しい捉え方の基本であることを理解してください。
見込み客とは、どのようなお客様なのか
営業予算の達成するためには、できるだけ多くの見込み客にアプローチをする必要があります。数多くアプローチすればするほど、商談が発生する確率も高まり、売上の増加が見込めるからです。
そして、実際にアプローチを行うときには、営業マンは見込み客であるかどうかを見極める必要があります。なぜなら、「買う気がないお客様」に貴重な時間を使うことは非効率だからです。
しかし、多くの営業マンは、「見込み客」の見極め方を間違っています。これから製品を買おうとしているお客様を探しているのです。既に買う気になっているので、契約に繋がる可能性が高いと考えるからです。
しかし、これは優良な見込み客とはいえないのです。
なぜ、商品を買おうとしているお客様が、優良な見込み客にならないのでしょうか。これは、
対象とするお客様の全体像を考えることで、その答えが見えてきます。
お客様を分類するとターゲット顧客が見えてくる
営業マンがアプローチの対象とするお客様は、3つのタイプに分けることができます。その特徴と割合は下記ようになります。
お客様のタイプ |
比率 |
|
---|---|---|
1、 |
製品を買うと決めているお客様 |
10% |
2、 |
買うかどうか分からないお客様 |
80% |
3、 |
全く買うつもりがないお客様 |
10% |
多くの営業マンが、「製品を買うと決めている」お客様を探しています。購入する意識があるため、契約をいただける可能性が高いからです。しかし、既に製品を買うことに意欲的であるため、あなた以外の営業マンにも声をかけているケースがほとんどです。
ただ、他社のトップセールスマンが、この見込み客を見逃すはずはありません。そのため、高い確率で相見積もりになります。つまり、このタイプのお客様は競争率が高いのです。
そして、他社と比較されてしまうと、必ず価格競争に巻き込まれます。さらに、お客様からの価格交渉に労力を使わなければいけないうえに、利益が圧迫されるという最悪の結果に終わるのです。
そのため、この「製品を買うと決めているお客様」には時間をかけてはいけません。なぜなら、営業マンが一番力を入れるべきお客様は、2番目の「買うかどうか分からないお客様」であるからです。その理由について、その詳細を説明していきます。
誰が将来のお客様になるのか
営業マンは、お客様を幸せにする仕事です。営業マンの提案によって「製品を使うことで幸せになれる」ことに気づかせてあげるのです。
つまり、「製品を買うと決めているお客様」に育てていくのです。
相手の幸せを真剣に考え、ニーズにあった適確な提案をすることで、お客様はあなたのファンになります。そうすると、他社に声をかけることもなく、値下げを求められることもありません。
つまり、この「買うかどうか分からない」お客様こそが、営業マンにとっての優良な見込み客なのです。
さらに、このカテゴリーのお客様は、全体の80%を占めている最も数の多い顧客層です。そのため、この見込み客へアプローチをすることに、営業マンは多くの時間と労力をかけるべきです。
そしてこれが、たった10%しか存在しない「買うと決めているお客様」に時間をかけてはいけない理由です。もちろん3番目の、「全く買うつもりがないお客様」へもアプローチをする必要はありません。
営業マンは限られた時間の中で、いかに多くの見込み客へアプローチを行うことが求められます。そのためには、「見込み客」の正しい見極め方を理解しなければいけません。
見込み客を判断するときに重要なことは、自分の思い込みで決めつけないことです。なぜなら、お客様にアプローチすることにブレーキをかけてしまうからです。購入を判断するのはお客様であって、営業マンではありません。
さらに、「買う気のないお客様」を優良顧客に変えるという考え方を取り入れてください。あなたの提案によって、「今すぐ買いたい」に変えてあげるのです。
営業予算を達成するためには、一定の商談件数が必要です。そして、この商談件数は、見込み客の捉え方に大きく左右されます。ここで解説した見込み客の捉え方を理解して、正しい営業アプローチを実践してください。