営業にとって最も重要な活動とは何でしょうか。多くの営業マンは、「お客様と会うことです」と答えます。しかし、このように答えなながらも、ほとんどの営業マンは実行できていないのです。
例えば、社内会議や提案書の作成というように、多くの時間を事務所で過ごしています。つまり、「お客様と会うこと」を後回しにしているのです。
これは、顧客と会うことの重要性を本当の意味で理解していないことに原因があります。
ここでは、営業活動においてお客様と会うことが、なぜ重要であるのかについて話をしていきます。
新規開拓でお客様が断る本当の理由
例えば、新規開拓の営業は、なぜ難しいのでしょうか。それは、人は良く知らない人から物を購入することに抵抗を感じるからです。
そのため、ようやくアポイントが取れて訪問しても、「間に合っているので結構です」というように断れてしまうのです。これは、商品をを否定しているのではなく、お客様はあなた自身を避けているのです。
もし、あなたの自宅に飛び込みで新聞勧誘の営業マンが来たとしたら、少なからず警戒心を抱くはずです。なぜなら、初対面で人柄もなにも知らないため、その相手を信用できないからです。
この理由が理解できれば、「信頼される」ためには何が必要かが見えてきます。つまり、お客様と接する回数を多くすることです。会う回数を増やすことで、お互いの距離は徐々に縮まっていきます。
これが信頼関係作りの土台となるのです。
お客様に信頼されるためには、商品の知識が豊富で、プレゼンのスキルも高くなければならないと考える営業マンは多いです。しかし、これは正しくはありません。
お客様のところに足繁く通って、何度も会話を交わしながら、お互いの距離を縮めていくことの方が重要です。だからこそ、営業活動において「お客様と会うこと」が最も大切なのです。
営業成績は訪問件数と比例する
私がIT企業で法人営業を行なっていたときの話です。入社してからの3年間は、一度も予算を達成することができませんでした。毎晩のように深夜残業を行ない、休日の土日も仕事をすることもありました。自分自身では精一杯、頑張っていたのですが、結果がついてこなかったのです。
しかし、4年目から徐々に数字があがるようになりました。その一つのきっかけとして、「上司が変わったこと」が挙げられます。新しい上司は、とにかく訪問件数を重視しました。営業メンバー全員に対して、一ヶ月に60件のノルマを与えたのです。
それまでの私は、月に25~30件の訪問件数でしたので、単純に倍以上になります。一ヶ月の勤務日数は、おおよそ20日間ですから、一日あたり平均して3件訪問する必要があります。
ただ、最初の数ヶ月は、目標の60件を達成することはできませんでした。それは、本気でノルマをこなそうとしていなかったからです。「営業には事務処理もあるので、そこまで訪問する時間はない」という理由が通用すると思っていたのです。
しかし、新しい上司は、一切それを認めませんでした。何としても月60件の目標を達成するように、徹底してメンバーを管理したのです。
例えば、「今日は何件、アポイントが入っているのだ」というように、常に目標件数を意識させるようにコミュニケーションしていました。
そこで、私は必死になってお客様先をまわりました。いろいろと知恵をしぼって、アポイントをとる口実を作りました。新しい製品チラシができれば、それを渡すためだけに会いに行ったりもしました。さらに、請求書が発行されれば、それを手渡しするためだけに訪問したこともありました。
そして、このような営業活動を続けていると、なぜか面白いように商談の件数が増えていったのです。
商談が生まれる理由とは?
商談の数が増えたのには、実は明確な理由があるのです。例えば、本当にチラシを渡すだけですと、数十秒で終わってしまいます。しかし、それでは時間と交通費をかけて移動してきたことが無駄になります。
そのため、「何とかして商談のきっかけを作ることはできないか」というように考え始めるのです。チラシの内容を説明するにしても、「案件につながる糸口はないか」という視点で話すようになります。そのため、商談が発生するケースが多くなったのです。
さらに、お客様の心理にも大きな変化がうまれます。
例えば、「請求書のためだけに来てもらうのも申し訳ない」というようにお客様も考え始めます。そうすると、お客様がいろいろと協力的になってくれるのです。
例えば、「このようなプロジェクトがあるのですが御社で提案できますでしょうか」というように、お客様から商談のきっかけを作ってくれます。これは、「わざわざ来ていただいたので何かお返しをしてあげたい」という気持ちが働くからです。
このようにして、私の商談の件数は増えていきました。そして、売り上げも上がっていったのです。プレゼンテーションの能力があがったわけでも、ニーズを見抜くスキルが向上したわけでもありません。
お客様と会う回数を増やしただけで、成績が向上したのです。
なぜ、お客様と会う機会を増やすことで、営業成績が良くなるのかを真剣に考えてください。この理由を正しく理解できれば、日々の営業活動で何を最優先にすれば良いかが見えてきます。