営業学入門

PDCAサイクル:予算達成に向けて営業活動の質を高めるコツ

今まで以上の成果をあげるためには、仕事の質を高める必要があります。今までと同じやり方を続けていても、同じ結果しか得ることができないからです。仕事の精度を高めることで、初めて成果に変化が現れるのです。

しかし、多くの営業マンは営業の質を高める努力を行なっていません。売上の数字を増やすためには、日々の提案活動を見つめ直し、至らない点は改善していかなければいけません。

そして、仕事の質を高めるのに有効な手段が「PDCAサイクル」です。PDCAサイクルとは、「Plan-Do-Check-Action」の頭文字をとったものです。仕事における「計画」「実行」「評価」「改善」を意味します。

ここでは、PDCAサイクルによって営業活動の質を高める方法について解説していきます。

日々の営業活動を振り返ることで成長する
まず、営業活動の計画を立てて、それを実行に移します。そして、「うまくいったかどうか」を振り返ります。そして、問題点があれば改善を行ない、次の営業活動に活かしていきます。このサイクルを回していくことで、営業活動の質を高めていくのです。

このときのポイントは、営業予算という大きな目標ではなく、個々の小さな活動にフォーカスを充てることです。個々の小さな活動とは、「新規顧客へのテレアポ」「新製品のプレゼンテーション」といった仕事の単位です。具体例をあげて、以下の動画で説明をしていますのでご確認ください。

1、PLAN 計画

最初に営業活動の「計画」を立てます。あなたが扱っている商品のターゲット顧客に対して営業アプローチの計画を立てるのです。例えば、次のような目標です。

「ABC商事の鈴木様へ新製品のプレゼンテーションを今月内に実施する」

営業活動における計画を立てるときは、必ず期限を設定してください。なぜなら、時間の制約がなければ、いつになっても人は行動に移さないからです。上記の例でいえば、「今月内に実施する」という期限です。

また、計画を立てるときは、必ず「成果」を設定してください。成果とは、その行動によってもたらされる理想の結果です。今回の例でいえば、以下のような内容です。

「プレゼンにより新製品を理解してもらい、ABC商事様に導入の検討をしてもらう」

このように、営業活動の一つひとつのタスクに対して「期限」と「成果」を設けて計画をたてます。

2、Do 行動

次に「行動」です。自分で立てたスケジュールに沿って、仕事を進めていきます。このとき、予定どおりに仕事が進まなくても問題ありません。計画を変更しなければならないときは、柔軟に修正することが大切です。

例えば、「プレゼンの5日前に資料を完成させる」という目標を立てたとします。しかし、緊急で対応しなければならない用件が入り、実現できなくなりました。このような場合は、目標を3日前に修正して、緊急対応の重要な仕事を優先させます。

その状況に会わせて、臨機応変に行えばよいのです。

最初に立てた計画どおりに進めることが目的ではありません。計画した仕事を最後までやり切ることが重要なのです。日々の営業活動では、常にこれを意識してください。

3、Check 評価

そして、仕事が完了した後に、「計画」で設定した目標と成果を確認します。今回のケースでいえば、「新製品のプレゼンテーションで、ABC商事の鈴木様に新製品を理解していただく。そして、導入に向けて検討をしてもらう」という内容をチェックします。

例えば、次のように振り返ります。

「鈴木様は新製品を気に入っている様子であった。質問もしていたので、非常に強い興味を持っていただいた。また、見積りの提示も依頼されたので、積極的に導入を検討していただけそうだ」

そして、自分の仕事を振り返るときは、客観的に評価することを意識してください。なぜなら、人はどうしても自分の都合の良いように捉える傾向が強いからです。

例えば、プレゼンテーションが苦手で懸命に練習をしていたとします。練習の成果もあり、本番ではスムーズに話をすることができました。このとき、本人としては非常に満足のいく「理想の結果」を得ることができたと評価するでしょう。

しかし、これは主観的な観点で評価しているに過ぎません。

プレゼンテーションの成果は「お客様の前でスムーズに話をすること」ではありません。「理想の結果」は、お客様に商品を理解してもらい、導入の検討をしてもらうことのはずです。このように、主観的な視点で振り返ると正しく評価できないのです。

さらに、「提案の進め方に問題はなかったか」という全体的な視点で確認することも大切です。個々の活動だけに目を向けていては、気づくことができないポイントもあるからです。今回のケースであれば、次のような内容です。

「プレゼンテーションは非常にうまくいった。しかし、事前にプレゼン資料をお客様に送っておいた方が、お客様の理解度が高まってかもしれない」

このように、プレゼンテーションだけで良し悪しを判断するのではなく、提案活動を全体的な視点にたって評価するのです。そうすることで、新たな問題点に気づくことができます。

4、Action 改善

前の段階の「Check」で明らかになった問題点の改善案を検討します。そして、次回のプレゼンテーションの「Plan」に反映させるのです。

今回の例でいえば、以下のような対策になります。

「他社製品との機能比較は、マトリックス表にして説明した方が分かりやすいかも知れない。次回はその資料を準備してからプレゼンテーションに臨むことにしよう」

前の段階の「Check」で明らかになった問題点の改善案を検討します。そして、次回のプレゼンテーションの「Plan」に反映させるのです。

今回の例でいえば、以下のような改善案になります。

「他社製品との機能比較は、マトリックス表にして説明した方が分かりやすいかも知れない。次回はその資料を準備してからプレゼンテーションに臨むことにしよう」

また、仮に問題がなかったとしても、さらに良いプレゼンテーションにするために何かできることはないかを考えます。例えば、次のような内容です。

「製品のメリットを説明するときに、お客様が理解しやすいように具体例を入れることはできないか」

「価格の妥当性を高めるために、何か工夫することはできないのだろうか」

このように自分のプレゼンを振り返り、問題点を見つけて改善をしていきます。これを繰り返していくことで、仕事の質は高まっていくのです。

もし、あなたが思うような成果を上げられていないのであれば、仕事の質を高めることを強く意識してください。仕事の精度を高めない限り、今まで以上の成果を残すことはできません。

ここで解説した「Plan-Do-Check-Action」のサイクルを日々の営業活動で常に意識してください。仕事の質を高めるための努力の積み重ねが、予算達成への近道であることを理解しなければいけません。