同じ製品やサービスを販売しているのに、営業マンによって目標を達成できる人もいれば、できない人もいます。この違いは一体どこからくるのでしょうか。
それは、お客様に何を説明しているかの違いです。売れない営業マンは、商品そのものを説明しています。機能や特徴、他社と比べて何が優れているのかを懸命に話します。
一方で、売り上げをあげる営業マンは違います。「お客様の未来」を案内しています。その製品を使うことで、将来どうなるのかをイメージさせているのです。
人は、イメージできない物に対して価値を感じません。自分にとってメリットがあることを想像できるから、「買いたい」という感情がうまれます。
つまり、営業マンが伝えるべきは「製品」ではなく、「お客様の未来」です。
自分の将来をいかにイメージしてもらうか
私は長い間、IT業界で営業をしていました。タブレット端末が流行り始めた頃で、この商品を自分の会社でも販売をすることになりました。私は、「テレビなどでも話題になっているし、便利だから売れるだろう」と考えていました。
ところが、お客様の反応が良くなかったのです。商品には興味があって、話は聞いてくれるのですが、タブレット端末を買ってくれません。どのお客様も、「メリットを感じることができない」という話ばかりでした。その理由は、自分でも分かっていました。
つまり、「どのように業務に役に立つのか」を聞かれても、うまく答えられなかったのです。自分も使っていないので、メリットがよく分かりません。今までのパソコンを使って仕事をするのと、具体的にどう違うのかが説明できませんでした。
しばらくして、自社でタブレット端末が支給されることになりました。営業マンにひとり一台ずつ配られて、営業活動で使えるようになったのです。
外出先でメールが送れたり、インターネットで調べごとができたりします。今まで印刷していた資料をデータにして入れておくことで、いつでもお客様に見せることができます。
使い始めてからしばらくして、お客様に具体的なメリットを説明できるようになりました。それは、自分自身が使うことで理解できたからです。
例えば、会議資料をデータで配り表示することで、印刷コストを抑えることができます。製品の動画を見せることで、効果的なプレゼンがおこなえます。このように、「日々の業務がどう変わるのか」を具体的に話せるようになったのです。
そして、お客様の反応も良くなりました。タブレット端末を使うことで、自分の仕事がどうかわるのかを、リアルにイメージできるようになったからです。こうして、徐々にタブレット端末を購入していただけるようになりました。
このように、お客様の中でイメージを広げてあがるのが営業マンの仕事です。ただ単に商品を説明しても、相手を動かすことはできません。人は、自分にとって役にたつ製品であることを想像できるから購入を決意します。
お客様に伝えるべきは、「商品やサービス」ではなく、その製品によって、「変わる未来」です。お客様はどういうときに物を買うかを考えて、製品説明で何を伝えるべきかを理解してください。