ゼロベース思考:停滞した商談を進める営業マンのアイデア発想法
複数人が集まる会議で、議論が行き詰まってしまうことがあります。参加者の発言が止まり、話が前に進みません。どのメンバーからも、新たなアイデアが生まれてこないのです。
このような局面で役に立つのが、「ゼロベース思考」です。ゼロベース思考とは、現状の制約を取り払い、ゼロの状態から新たに考えなおすという発想法です。
ここでは、ゼロベース思考によるビジネスアイデアの発想法について話をしていきます。
本来の目的を再確認して現状を疑う
人数が多ければ、それだけアイデアが出てくる訳ではありません。問題の解決に大人数で取り組んでも、 考えが煮詰まってしまうことはあります。議論が行き詰まるのは、制約が厳しいために条件に合う意見が思い浮かばないことに原因があります。
そこで必要になるのが、その制約を疑うことです。例えば、上司が部下に残業の多さを注意するときです。このとき、多くの営業マンは次のように答えます。
「やるべき仕事が多いので残業をしない訳にはいきません」
ただ、これでは話が前に進みません。そこで、「仕事を全て片付ける」という前提を取り払います。そうすると、「そもそも全ての仕事を自分でやる必要はない」というように考えることができるようになります。ここから新たなアイデアが思い浮かんできます。例えば、次のような発想です。
「任せるこ とができるタスクは他人に依頼するようにしよう」
「営業の成果に直結しない業務を無くすための仕組みを作ろう」
このように、与えられた前提条件を取り除くことで、斬新な発想を生み出すことができます。
営業活動に存在する制約に目を向ける
ゼロベース思考は、営業マン個人の商談の進め方にも適用することができます。例えば、IT業界の営業マンです。「利用している業務システムの使い勝手が悪い」という要望を受けて、自社のシステムの提案を続けてきました。
ところが、なかなかクロージングに近づけることができず、商談が停滞しています。そこで、自分が行ってきた営業活動をゼロベース思考で見直してみます。
まず、先入観や固定観念に縛られて提案を続けていないかを考えてみます。例えば、次のように自問自答をおこないます。
「業務システムを導入したいという顧客の要望だったが、そもそも必要はあるのだろうか」
「システムよりも社内のネットワーク環境に問題があるのではないか」
このように、今までの常識を疑ってみるのです。これが、商談を前に進める突破口に繋がることがあります。例えば、次のような発想です。
「システムよりも業務端末を変えたほうが改善できるのではないか」
「ネットワークを調査すれば今回の問題の原因が見つかるかも知れない」
このように、自分の頭に中にある縛りを取り払うことで、新たな提案の方向性を見つけ出すことができます。
商談で行き詰まったときは、今までの提案をリセットして考えるようにしてください。いったん白紙に戻してから解決策を探すことで、新たな発想にたどり着くことができます。
ゼロベース思考を身につけて、営業活動における提案のアイデアを絶やさないようにしてください。