営業の行動経済学

単純接触効果:お客様から声がかかる営業マンが身につけている習慣

単純接触効果:お客様から声がかかる営業マンが身につけている習慣

初めて会ったお客様との距離を縮めるためには、会う回数を増やすことが最も効果的です。会う回数に比例して、お互いの親密度は高まっていくからです。これを心理学で、「単純接触効果」といいます。

例えば、テレビのCMで流れている曲です。ふと気がつくと、その曲を口ずさんでいたり、街中で耳にすると「あっ、あの曲だ」と思ったりすることはないでしょうか。これは、その曲があなたの好みだからという理由ではありません。

単純に何度も耳にしているため、あなたの頭の中に強く印象に残っているからです。そして、この心理的現象は、営業活動に大きな影響を与えているのです。

ここでは、単純接触効果を理解して、お客様から選ばれるためには何が必要かについて話をしていきます。

 お客様から声がかかる理由
この単純接触効果は、営業活動において重要な鍵を握っています。お客様が営業マンを選ぶさいに、この心理効果が働いているからです。例えば、あるお客様のもとに3社の営業マンが出入りをしているとします。そして、それぞれの営業マンが訪問する回数は以下のとおりです。

<営業学>” /></div>
<p>このような状況で、お客様が新たにコピー機の購入を考えたとします。このとき、お客様はどの営業マンに声をかけるでしょうか。それは間違いなく、「営業マンC」です。</p>
<p>これは、営業マンCを目にする回数が最も多いため、お客様の頭の中に真っ先に思い浮かんでくるからです。つまり、単純に訪問する回数が多いという理由で、お客様から声がかかるようになるのです。</p>
<p>これが、営業活動において単純接触効果が大きな影響力を持っている理由です。</p>
<p>つまり、営業マンがお客様から選ばれるためにやるべきことは、単純に接触する回数を増やせば良いのです。プレゼンの技術を磨いたり、セールストークの練習をしたりするよりも、最も効果がある活動であることを理解してください。</p>
<p> <strong>最速でお客様との距離を縮める方法</strong><br />この心理的効果を活用するときのポイントは、接触する内容にこだわらないという点です。中身よりも、単純に接触する回数を増やすことを意識してください。</p>
<p>例えば、90分の商談を一回おこなうよりも、30分の商談を3回実施したほうが効果があります。そのため、営業マンは一度の打ち合わせで全てを話すのではなく、回数を分けて会う回数を増やす工夫が必要になります。</p>
<p>このように言うと、多くの営業マンは、「中身が薄い商談と繰り返すのはお客様に対して失礼ではないか」と考えます。しかし、それはあなたの思い込みに過ぎません。前述のとおり、合う回数が多いほどお客様との距離は縮まるからです。</p>
<p>もちろん、お客様は「会うための理由」がなければ、営業マンのために時間を作ってはくれません。そのため、お客様に接触する回数を増やすためには、知恵を絞らなければいけません。</p>
<p>私がIT業界で営業をやっていたときは、電話やメールをうまく活用して接する回数を増やしていました。例えば、ただ単にお客様先へ訪問しても、接触する回数は2回です。</p>
<p><span style=・1回目 電話でアポイント
・2回目 訪問

しかし、商談をおこなう前後に他のアプローチを入れることで、回数を4回に増やすことができます。例えば、以下のような方法です。

・1回目 電話でアポイント
・2回目 前日に訪問の再確認の電話
・3回目 訪問
・4回目 御礼のメールを送る

お客様とコンタクトをとる方法は、訪問して対面で会うことだけではありません。電話で会話をしたり、メールでやりとりしたりすることも、お客様と接触する活動です。このように、さまざまアプローチ手段を活用することで、接する回数を増やすことができます。

お客様から選ばれる営業マンは、意識してこの習慣を実践しているのです。商談の中身よりも、単純に接する回数を増やすことが、お客様との距離を縮める最短の手段なのです。

この単純接触効果による顧客心理を理解することで、お客様に声をかけてもらうためには何が必要かが見えてきます。