なぜ、トップ営業マンは優秀なマネージャーになれないのか
トップセールスマンは、優秀なマネージャーになれない傾向があります。これは、プレイヤー時代の感覚のまま、マネジメントを行っていることが原因です。
営業マン個人に必要な能力と、営業マネージャーに求められる能力は異なります。そして、これを考えることで、マネジメントの本質が見えてきます。
ここでは、トップ営業マンがマネージャーとして成功できない理由について話をします。
役割に求められる能力
スポーツの世界に、「名プレイヤー、名監督にあらず」という言葉があります。これは、必要とされるスキルが違うため、選手として活躍できても監督として成功するとは限らないという意味です。
これは、営業組織でも同じことが言えます。営業は一人で活動することが多い仕事です。そのため、営業マン個人の能力が仕事の成果に大きく影響します。
しかし、営業マネージャーは違います。営業部門の予算が目標となるため、メンバーに予算を達成させなければいけません。そのため、部下に仕事をさせるスキルが結果を左右します。
このように、個人プレイヤーである営業マンと、部下を持つ営業マネージャーでは求められる能力が異なります。
役割に応じたマインドセット
多くの企業では業績を残した社員を出世させて管理職にします。数人の部下を配属させて、マネジメントの権限を与えます。つまり、マネージャーは「部下に仕事をさせる」ことが仕事になります。
優秀な営業マンがマネージャーになると、部下の不甲斐なさを感じることが多いです。自分自身が当たり前のようにやっている仕事が、うまくこなすことができないからです。そのため、次のような不満を抱くケースが多いです。
「なんでこんな簡単な仕事ができないのか」
「そんなに難しい商談ではないのに何故できないのか」
自分のスキルとギャップがあるため、部下の行動にフラストレーションを感じるのです。そして、部下への信用度が下がり、仕事を任せないようになります。たとえ仕事を与えても、部下の実力を認めていないため、自分がフォローする割合が多くなります。
例えば、商談のポイントになるプレゼンや価格交渉などを、マネージャー自身でやってしまいます。部下が経験を積めなくなるので、成長が遅くなります。そのため、営業組織として強くならないのです。
トップセールスマンが、マネージャーとして成功できない理由がここにあります。
営業マンに必要な能力と、営業マネージャーに求められる能力は別です。しかし、多くの営業マネージャーは、プレイヤー時代の感覚のままマネジメントを行っています。マネジメントに必要なことは、自分が動くのではなく、メンバーに行動させることです。
営業組織におけるマネージャーの役割を理解して、正しい考え方を身につけてください。