商談は、準備で決まります。そのため、会社案内や製品パンフレットの準備、業界や競合他社の情報収集など、事前にやるべきことは数多くあります。これらを、どのレベルまで実施できたかで商談の成果が決まります。
私は、多くの営業マンが行っていない「準備」を実践しています。それは、お客様への質問事項をノートに整理しておくことです。ここでは、その方法と効果を説明します。
やるべきことを確実に行う仕組み作り
ノートを整理する最大のメリットは、確認漏れを防ぐことにあります。いくら商談のポイントが分かっていても、確認することを忘れていては意味がありません。
例えば、仕事を進めている中で「そういえば、鈴木商事さんが事務所移転すると言っていたな。パソコンの追加購入や、複合機の入れ替えがあるかも知れない。次の打ち合わせのときに聞いてみよう」と思いつくことがあります。
しかし、実際の打ち合わせになると、ほとんどの営業マンがこれらを覚えていません。これは、記憶に頼ろうとするからです。人間は忘れる生き物です。だからこそ、メモに残しておく必要があるのです。
まず、打ち合わせが決まった時点で「鈴木商事 村上様 打ち合わせ」とタイトルをいれます。そして随時、頭に浮かんだ質問事項を書き残していきます。例えば、以下のようになります。
<例>商談前に質問事項を整理しておく
さらに、確認するべきことが明確ですと、落ち着いて商談に臨むことができます。「商談で何の話をしようかな?」という不安がなくなるからです。平常心でいられるため、営業活動に集中することができます。
さらに、準備をしているとお客様から信用を勝ち取るテクニックを使うことができます。それは、質問を準備してきていることを、意図的に相手に気づかせるのです。
例えば、「それとですね……」と言いながら準備した質問を指さして、「オフィスを移転されると言っておりましたが、その際にパソコンを新しく購入する……」と話し始めるのです。
するとお客様は、「この営業は事前に確認事項をノートにまとめてきている。なかなか熱心な営業マンだ」とアピールすることができます。このような、「小さな売り込み」を行うことも営業には大切です。
営業マンにとって、お客様と直接顔を合わせる商談は最も重要です。確実に成果を残すために、できる準備を全て行う姿勢が、営業マンには求められます。