営業の仕事術

マルチタスクは非効率:トップ営業マンに学ぶ生産性を高める仕事術

営業で成果をあげるには、効率的に仕事を進めなければいけません。限られた時間の中で、いかに数多くのタスクをこなしていくかを考える必要があります。

そして、仕事の進め方について考えるとき、特に気をつけたいのがマルチタスクです。マルチタスクとは、コンピューター用語で複数の処理を同時に実行することを言います。

営業活動であれば、パソコンで提案書を作っている最中に、お客様からの電話に対応するというような仕事の進め方です。ひとつの作業が完了する前に、別の作業に取り掛かってしまうのです。

しかし、このマルチタスクはとても非効率です。別の作業を始めてしまうと、もとの作業に戻るときに大きな負担が発生するからです。

ここでは、マルチタスクの弊害を理解して、効率的な仕事の進め方について考えていきます。

マルチタスクは非効率

先ほどの例のとおり、「お客様からの電話」という理由で、無条件に電話に出てしまう営業マンは多いです。おそらく、あなたもお客様からの電話であれば、すぐに対応するのではないでしょうか。

ただ、この仕事の進め方はとても非効率です。

例えば、お客様との電話が終了して提案書の作成に戻ろうとしても、スムーズにもとの状態に戻ることはできません。

これは、別のタスクに取り掛かったことで、提案書作成に対する集中力が途切れてしまうからです。そのため、再度、集中力を高めるために時間がかかります。

さらに、どのように考えて提案書を作っていたのかを忘れてしまうこともあります。もし忘れてしまったら、それを思い出すことから始めなければいけないのです。

このようにマルチタスクは、仕事の生産性という観点からみると、とても効率が悪いのです。

それでは、どのように仕事を進めていけば良いのでしょうか。

それは、ひとつ一つの仕事が完了するまでは、別の業務に取り掛からないというルールを作り、それを徹底することです。

複数のタスクを同時並行で処理するのは、コンピューターであれば可能です。しかし、残念ながら、人間にはそのような優れた能力は備わっていません。

目の前の仕事に集中して、ひとつ一つ片付けていくことが最も効率的なのです。そして、これを実践することで、営業活動の生産性を高めることができるのです。

生産性を高めるトップセールスの仕事術

 
このような話をすると、「お客様からの電話にはすぐに対応するべきでは」というような反論が返ってきます。ただ、これは思い込みに過ぎません。

提案書の作成が終わってから、折り返しの電話を入れれば良いだけだからです。

どのような営業マンであっても、電話に出られない状況はあります。そして、お客様もそれは分かっています。そのため、現在の業務が完了した後に、折り返しの電話をすれば問題はありません。

例えば、提案書や作成や営業会議にかかる時間は、どんなに長くても2時間です。つまり、2時間後には電話をかけ直すことができるのです。この時間を待てないお客様などいません。

そして、折り返しの電話をかけるときは、必ずお詫びの言葉を入れてください。例えば、次のようなフレーズです。

「先ほどは電話に出ることができず申し訳ございませんでした」

「すいません、打ち合わせ中で電話に出ることができませんでした」

このように、お詫びの気持ちを伝え、電話をかけ直せば全く問題はありません。もちろん、着信から4~5時間も空けてはいけませんが、現在の業務を終えてからで十分なのです。

そのため、お客様から電話がかかってきても対応する必要はなく、目の前の業務に集中するべきなのです。

目の前の業務に集中できる環境作り

私がIT業界で法人営業を行なっていたときの話です。重要なタスクに取り組むときは、携帯電話をカバンの中に入れるようにしていました。机のうえに置いておくと、どうしても気が散ってしまうからです。

つまり、目の前の重要な業務に集中できる環境を作っていたのです。

そうすることで、携帯電話への着信やショートメッセージを確認するというマルチタスクを強制的に避けることができます。

さらに、集中して事務作業に取り組みたいときは、私は事務所の近くにある喫茶店に入って、一人で仕事をしていました。

そうすることで、上司や同僚に声をかけられることがなくなります。さらに、外線の電話もかかってくることもありません。そのため、一切の邪魔がなくなり、集中して仕事に取り組むことができるのです。

このように、自分が集中して仕事に取り組める環境を作ることを意識してください。目の前の業務に集中できることで、生産性は高まるのです。

また、ひとつのタスクが完了する前に、別の業務に取りかかってはいけません。元のタスクに対する集中力が弱まり、非効率だからです。

営業として成果をあげるために、生産性を高めることを真剣に考えなければいけません。自分なりのその方法を見つけ、実践できた人だけが成果をあげることができるのです。