営業の心理学

ランチョン・テクニック:営業マンが考えるべき接待の効果について

他人と一緒に食事をすることで、お互いに打ち解けることができます。それは、食事という楽しい場の空気が、会話の内容や相手の印象に良い影響を与えるためです。

さらに、料理を楽しみたいという心理が働くため、相手と良好な関係を築こうとします。そのため、こちらの要望を受け入れてくれる確率が高まります。接待で飲食の場が利用されるのは理由があるのです。

このように、飲食を通じて相手と親密になる手法を「ランチョン・テクニック」といいます。

楽しい食事の時間があなたの評価につながる

私は、長期的に取り引きをしたい顧客とは、定期的に懇親会をおこないます。いつもは会議室の中でしか話をしないお客様と食事の場を設けることで、親近感を高めることができるからです。

その場の雰囲気が楽しければ楽しいほど、お客様の満足度が高まります。そのため、いかに楽しんでもらうかを真剣に考えて準備をします。

お客様の好みの食べ物やいつも飲んでいるお酒などは、普段の雑談の中でリサーチしておきます。そして、優遇感を持ってもらうため、ある程度の値段がはる店を選びます。さすがに安い居酒屋チェーン店などでは、お客様も幻滅します。

さらに店の雰囲気も重要です。高級フレンチ料理店などでは、食事のマナーに気を使います。ある程度、気さくに会話ができる店が好ましいです。

懇親会での満足感が、そのまま営業マンへの好感に繋がります。これにより、信頼関係が深まり、長期的な取り引きが可能になります。

接待や会食の場の雰囲気がその後の顧客との関係性に与える影響を、営業マンは十分に考慮する必要があります。

御礼メールを送ることでさらに満足感を高める

さらに、私が実践している接待の効果を高める工夫を紹介します。それは、「お礼メール」を自分から送ることです。会食が終わりお客様と別れてから、帰宅途中の電車の中からスマートフォンで送信します。

このとき、メールの文面は必ず食事に行く前に準備しておきます。そして、メールソフトの下書きフォルダに保存しておきます。これには、ふたつの理由があります。

ひとつは事前に準備しておくことで、メール送信が楽になるからです。食事が終わってから、メール本文を書くのは非常に面倒です。事前に完成させておけば、簡単に送ることができるので、確実に実行できるようになります。

ふたつめの理由が、マナーです。接待ではお酒が入るので、開放的な気分になることが多いです。さらに、宴会の場でフレンドリーに会話をした後ですので、敬語を省いた砕けた文章を書きたくなります。

しかし、お酒の場であれば多少は許されますが、お礼メールではビジネスマナーに違反します。これを避けるために、お礼の文面を事前に書き終えておくのです。

本来は、ご馳走になった側のお客様から、お礼メールを送るのが正しいかもしれません。しかし、あえて営業マンから送ることで、相手にインパクト与えることができます。そうすることで、良好な待遇を受けたことを、強く印象に残すことができます。

営業マンは、お客様といかに良好な関係を継続していくかを考える必要があります。ここで解説した「ランチョン・テクニック」による効果を理解して、あなたのセールス活動に活かしてください。