営業学入門

部下を持つ上司に必要な心構え:新人営業に最速で育ってもらうコツ

 

多くの企業では、その会社にとって重要な大口顧客をベテランの営業マンに担当させます。会社として確実に売り上げをあげたいため、実力のある社員を担当させるのです。

一方で、経験が浅い新人営業マンには、ポテンシャルの低いお客様を担当させる傾向があります。商談に発展する見込みが低いので、スキルのない社員で問題ないと考えているためです。

しかし、ここには「新人営業マンの教育」という観点が抜けています。新入社員には一日でも早く育ってもらい、会社に貢献してもらう必要があります。そのため、企業は社員の育成を行う必要があります。

新入社員が育つためには、多くの経験を積ませなければいけません。

営業マンであれば、数多くの商談をこなしていくことで、提案力やコミュニケーション・スキルが向上します。そうすることで、売り上げに貢献できるセールスマンへと育っていきます。

しかし、見込みの低い顧客を担当させていては、商談に発展することによる経験を積むことができません。つまり本来は、キャリアを積ませるためにポテンシャルの高い顧客を担当させるべきです。

部下を持つ上司に必要な新人営業マンを育てる方法

私は、営業部に配属された新入社員を教育するメンターを任された経験があります。このときに意識していたことはたったひとつで、「実際に本人にやらせること」です。育成とは、教えることではなく経験を積ませることです。

例えば、お客様から「ある製品について詳細を知りたい」と問い合わせが入ります。そこで提案に必要な準備から、実際の製品説明、見積もりを提示してからクロージングまでを全て本人にやらせます。

規模の大きい商談であっても、完全に新人営業マンに任せるのです。これにより、部下は自分が期待されていることを実感できます。それが本人のモチベーションアップに繋がります。

部下に商談対応を任せるにあたって、上司は口出しをしないことです。例えば、お客様先で製品説明をする際に、質問に答えられなかったとします。このときに、上司であるあなたが代わりに回答してはいけません。

「お客様の質問に回答できない」ということを経験させるのです。そうすることで、製品知識をしっかりと身につけておくことが、営業においていかに重要かを学ぶことができるのです。

他人に教えられるのでなく、自分自身で気づくことが深い学びとなります。

ダメな上司ほど、部下に教えようとします。ただ、これでは「部下が成長するには何が必要か」ということを真剣に考えることができていません。

部下が成長するには時間がかかります。業種にもよりますが、自分の意思で数字を取ってくる一人前の営業マンになるには、少なくても半年はかかります。

目先の数字という結果を気にせず、経験を積ませて部下が成長するのを待つ「根気」が上司には求められます。