営業学入門

安定した売り上げを実現する営業マンのモチベーション管理術

仕事で成果を上げるためには、そのための能力が必要です。しかし、能力だけでは継続的に結果を出すことはできません。長期間に渡って成果を上げるには、モチベーションを保ち続ける必要があります。

もちろん、営業職も例外ではありません。お客様と顔をあわせる営業マンにとって、仕事に対する意欲を維持させることは重要です。やる気が感じられない営業マンからは、お客様は物を買おうとは思わないからです。

そこで、ここでは継続的に売り上げをあげるために必要とされる、営業マンのモチベーション管理について解説をしていきます。

モチベーションとは何か

最初に「モチベーション」とは何でしょうか。モチベーションとは、行動するための意欲ややる気のことを指します。

多くの人は、このモチベーションは自然と高まってくるものと考えています。そのため、「やる気が上がってきたら行動しよう」と考えるのです。しかし、実際は逆です。

行動することでモチベーションは上がるのです。

例えば、次のような経験はないでしょうか。前の晩に飲み過ぎてしまい、朝起きたらひどい二日酔いです。こんなときは、会社に行きたいと思いません。しかし、渋々と支度を始め、スーツを着て、ネクタイを締めて玄関を出ます。そうすると、いつの間にか「仕事モード」になっているのです。

これは、スーツを着るという「行動」をしたことで、感情が仕事モードに入ったのです。つまり、行動することでモチベーションが上がったのです。

それでは、どうしても仕事でやる気が湧いてこないときは、どのようにすればよいでしょうか。それは、簡単に終えることができる作業などに手をつけることです。例えば、取引先に電話をするとか、メールを見るだけでも構いません。

とにかく、「行動」を始めることを意識してください。

行動に移していると、自然と脳みそが「仕事モード」に切り替わります。そうすると、勝手に仕事のモチベーションが高まってきます。抵抗の少ない簡易的な作業から取りかかることで、それを引き金にして自分のやる気を高めるのです。

このように、自分のモチベーションをコントロールすることがとても重要です。

自分のモチベーションをコントロールする秘訣

営業という職業は、ひとりで活動することが多い仕事です。ひとりで外出をしてお客様先を何件も周り、事務所に戻るまで同僚に会うことがありません。そのため、嫌なことがあって気分が落ち込むと、引きずりやすいのです。周囲が励ましてくれることがないからです。

もちろん、表情が冴えない覇気のない営業マンを、お客様が受け入れてくれるわけがありません。常にモチベーションを保ちながら、営業マンは仕事に取り組むことが求められます。

そこで必要になるのがモチベーション管理です。

仕事に対するモチベーションをコントロールできれば、常に一定のパフォーマンスを出すことができます。営業予算という目標を常に与えられている営業マンにとって、一定のパフォーマンスを出すことは必須条件と言えるでしょう。

そして、モチベーションを管理する秘訣は、「自分はどのような状況でモチベーションが上がったり、下がったりするのか」を把握しておくことです。

そうすることで、モチベーションが下がったときに「モチベーションが上がる環境」を意図的に作って自分のモチベーションを高めるのです。これを整理すると、次の2ステップになります。

1)自分のモチベーションが下がったことを客観的に判断する
2)モチベーションが上がる環境を作りやる気を高める

それでは、モチベーションをコントロールするための「2ステップ」を具体的な例をあげて解説をしていきます。

ステップ1 自分のモチベーションが下がったことを客観的に判断する

最初に、自分はどのような状況でモチベーションが下がるのかを整理しておきます。例えば、次のような内容です。

「上司から偉そうに指示をされたときに自分はやる気がさがる」

「お客様に理不尽なことを言われたときに仕事が嫌になる」

そして次に、因果関係で整理します。上記の例でいえば、以下のようになります。

・他人に指示される → やる気がなくなる
・理不尽なことを言われる → 仕事が嫌になる

これを算数の数式のように覚えておくのです。そうすることで、客観的に「モチベーションが下がった自分」に気がつくことができます。

「部長に指示をされたから、自分はモチベーションが下がっている」

「理不尽なメールを受け取ったから、仕事に対するテンションが下がっている」

このように、冷静に自分自身を見つめることができます。冷静になれることで、次のステップである「気持ちを立て直す行動」にスムーズに取り掛かることができるのです。

ステップ2 モチベーションが上がる環境を作りやる気を高める

自分のモチベーションが下がっていることに気づいたら、「モチベーションが高まる環境」を意図的に作り、自分のモチベーションを立て直します。先ほどとは逆に、どのような状況で自分の気分が高揚するかを整理しておきます。例えば、次のような内容です。

「好きな音楽を大きめの音で聴いていると気分が良くなる」

「残業をせずに帰宅してお酒を飲みながら好きな映画を鑑賞する」

このように、内容はどのようなことでも構いません。他人からみたら、下らないことでも良いのです。大切なことは、自分のテンションをあげる方法を知っておくことです。

そして、自分のモチベーションが下がったときに、これらのアクションを意図的に取ることでモチベーションを立て直すのです。これが2ステップによるモチベーション管理の具体的な方法です。

人間であれば、誰でも気持ちの浮き沈みはあります。大切なことは、落ち込んだときに、いかに早く立ち直ることができるかです。ここで解説した2ステップを参考に、あなたもモチベーションをコントロールする手段を身につけてください。

他力本願のモチベーション管理術

また、モチベーションを高めるための行動は、周りの人をうまく活用することもできます。例えば、周囲のメンバーと協力しながら仕事に取り組むことが好きな人がいます。

人と接するのが好きで、協調性を重んじる性格の人です。

そのような人であれば、意識して周囲の同僚と接する機会を増やせば良いのです。例えば、営業グループのメンバーと一緒に昼食に行くようにしたり、定期的に飲みに行ったりするのです。

そうすることで、周囲のメンバーとの一体感を高め、自分のモチベーションを上げることができます。

例えば、私がIT業界で法人営業を行っていたときの話です。私はモチベーションを高めるために「他人」を積極的に活用していました。

具体的には、フレンドリーに話すことができる友人のような同僚や取引先の担当者と電話で会話をするのです。

そして、仕事の話はほどほどにして、プライベートな話題をするようにします。趣味の話題や一緒に呑みにいった時の話をすることでテンションがあがります。そうすることで自分の気分を高揚させ、モチベーションを高めるのです。

つまり、他人の力を借りて、自分のモチベーションをコントロールするのです。

そのため、私は意識して「元気をもらえる人」との関係作りを行っていました。特に取引先やメーカーの担当者などとは積極的に交流していたのです。

このように、自分のモチベーションを管理する仕組みを考えてください。営業として成果を出すためには、数字に執着する必要があります。そのためは、仕事に対するモチベーションを持ち続けなければいけません。

モチベーションを維持することでパフォーマンスが安定し、着実に数字を積み重ねることができるのです。この数字の積み重ねが、予算達成という結果に繋がるのです。

ここで解説した内容をもとに、あなたにとっての最適なモチベーション管理術を身につけてください。