営業の組織行動学

組織で指示・命令を徹底させるための基本ルール

組織で指示・命令を徹底させるための基本ルール

組織では統一した目標に向かって働くことが求められます。そして、組織はメンバーの役割にあった仕事を割り振りしなければいけません。そこで必要になるのが、「指示・命令」です。

指示・命令とは、「あるタスクを完成させることを言いつけること」です。一般的には組織の上位者から下位者に対して行われます。このとき、指示を受ける側はその内容を理解するように務める必要があります。

ここでは、組織において指示・命令を徹底させるための基本ルールについて話をしていきます。

 言葉は人によって解釈が異なる
例えば、ある営業グループにおける上司から部下への指示です。上司は勤続8年でマネージャー職にあたります。営業としての経験も豊富で、社内ではベテランの位置に属します。

一方、指示を受ける部下は入社2年目の新人営業マンです。上司から教育を受ける立場であり、営業としての知識や経験も浅いです。

指示をする側と受ける側では、営業マンとしての実力に大きな差があります。指示・命令が行われるとき、この両者の違いを前提にしなければいけません。

例えば、提案資料の準備です。「競合他社との比較が分かるような資料を準備してほしい」と上司から依頼を受けます。

このとき、新人営業マンは価格と機能を比べた資料を作成しました。しかし、上司が求めていたのは顧客視点でみたメリット・デメリットの比較資料だったのです。

上司はこの資料を過去に作成して顧客に喜ばれたことがあったため、それと同様の資料が作りたかったのです。一方で部下にとっては、「比較」といえば客観的にみた価格と機能しか思い浮かばなかったのです。

このように、言葉の捉え方が両者で異なることがよくあります。これは、両者の経験や知識の違いが生まれます。この違いを認識したうえで、指示・命令を実施しなければいけません。

 指示・命令のマインドセット
ビジネスでは事前に確認して防ぐことができるのであれば、それは確認をしなかった自分に責任があります。先ほどの例では、指示を出した上司がミスを犯しているといえます。そのため、次のような考え方は避けなければいけません。

「この言い方で伝わるだろう」
「前回もやったので言わなくても分かるだろう」

相手が正確に捉えることができなければ、その仕事がうまく進むはずがありません。時間をかけてタスクを終えても、やり方が間違っているために、最初からやり直さなくてはいけないこともあります。

指示をするときは、相手に言いたいことがしっかりと伝わるように工夫をしなければいけません。そのためには、相手の解釈を確認することがとても有効です。例えば、次のような質問です。

「どのようなポイントで比較すれば良いと思う?」

このように、相手がどのように捉えているかを確認するのです。そうすることで、お互いの思い違いを防ぐことができます。

言葉や文章はその人の捉え方によって大きく異なります。このことを前提にして指示・命令を行う必要があります。内容が正確に伝わらなければ、仕事が正常に行われることはありません。

お互いが同じ認識を持つことで、はじめて指示・命令が意味を持つことを理解してください。そうすれば、組織内での意思疎通がスムーズになります。