営業・セールスを「学問」として体系的に学ぶ

認知的不協和理論:顧客の不安を取り除き信頼関係を深めるメソッド

 

お客様は商品を購入した後は、それが正しい買い物であったことを認めようとする傾向があります。たとえ、目に見える効果が感じられなくても、何かしらの理由をつけてそれを正当化しようとするのです。

 

これは、人は自分が認識している事実に矛盾が生じたとき、その矛盾を正当化しようとする心理が生まれるためです。これを心理学で、「認知的不協和理論」といいます。

 

例えば、タバコの喫煙です。多くの喫煙者は、タバコは健康に良くないことを認知しています。このとき、ふたつの認知(事実)が存在します。

 

認知@ 自分はタバコを吸っている
認知A タバコは健康に良くない

 

しかし、健康に良くないことを知りながら、タバコを吸っているという矛盾が発生しています。この矛盾を無くすためには、タバコを吸うという行為を辞めることです。しかし、喫煙者にとってタバコを辞めるのは簡単ではありません。

 

そのため、「タバコは健康に良くない」という認知を変えようとするのです。例えば、「タバコを吸っても健康な人はいる」「全ての喫煙者がガンになるとは限らない」というような考え方です。

 

認知@ 自分はタバコを吸っている
認知A タバコは健康に良くない
認知B タバコを吸っても健康な人はいる
認知C 全ての喫煙者がガンになるとは限らない

 

このように、自分の中で矛盾(不協和)する認知が発生した場合、それを解消しようとする心理が働きます。ここでは、この心理現象が営業活動にどのような影響を与えているかについて考えていきます。

 

 人は自分を正当化しようとする
例えば、ある企業で業務システムの導入を検討しているとします。この企業では事務処理に膨大な時間がかかり、社員の残業がとても多いという悩みを抱えています。これを改善するために、業務システムの導入を考えているのです。

 

このプロジェクトのリーダーは、長い期間をかけて検討した結果、ついに導入することを決断しました。しかし、システムが稼働してから2週間たっても、目に見える効果が現れていません。

 

このとき、プロジェクトのリーダーが、上司にシステムの効果を聞かれたとします。そうすると、実際に効果が現れていないにもかかわらず、導入は正しかったことを証明しようとします。例えば、次のような説明です。

 

「実際に残業時間は減っていませんが、それは社員がまだシステムの使い方に慣れていないからです。時間が経てば必ずシステムの効果は出てきます」

 

これは、自分がリーダーとして判断したプロジェクトのため、「判断は正しかった」ことを証明しようという心理が働いているためです。効果がでていないという矛盾(不協和)を自分で認知していても、正しいと思い込ませようとするのです。

 

 お客様の不安を取り除く
お客様は商品やサービスを購入した直後は、正しい買い物であったのかが不安になることがあります。そして、認知的不協和により、自分の判断は正しかったと思い込もうという心理が生まれます。

 

そして営業マンは、このお客様の不安を取り除いてあげなくてはいけません。具体的には、商品やサービスを購入してもらった後に、「お客様の判断は正しかった」ことを証明してあげるのです。例えば、次のような説明です。

 

「今回、御社に購入していただきましたABシステムですが、非常に売れ行きが好調なのです。実は同じ業界の、ある大手企業も検討しているところです」

 

このように、「他のお客様」も購入している事実を伝えてあげるのです。そうすることで、お客様は自分の判断が間違っていなかったことを実感することがます。他のお客様の「導入事例」というのは、商談中だけではなくアフターフォローでも効果があるのです。

 

お客様は商品を購入した後、正しい買い物であったのか不安になることがあります。とくに、目に見える効果が出ていないとき、その不安感は強まります。そして営業マンは、このお客様の気持ちを汲み取り、フォローをしなければいけません。

 

認知的不協和による顧客心理を理解することで、営業マンはアフターフォローで何をするべきかが見えてきます。

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