営業の読書術

なぜ営業マンの読書には「多読」が求められるのか

なぜ営業マンの読書には「多読」が求められるのか

私は多くの営業マンに読書を勧めています。それは、営業活動を進めるにあたって、非常に多くの効果があるからです。

さらに、できるだけ数多くの書籍を読むように推奨しています。一冊の本をじっくりと読むよりも、多くの本を読むことを勧めているのです。

なぜなら、営業マンにとっての読書は実践で使える知識やアイデアを学ぶことが目的だからです。そのためには、精読よりも「多読」をするべきなのです。

ここでは、営業マンの読書には多読が求められる理由について解説していきます。

 多読は意味があるのか
私は月に20~25冊の本を読みます。そして、これを5~6年間続けています。このように言うと、多くの人から次のような質問を受けます。

「そんなに多くの本を読んで頭に残っているのですか」

「数多くの書籍を読んで内容を消化できるのですか」

沢山の本を読むと情報量が多いために、内容が整理できないと考えているのです。そのため、頭の中に残らず、本を読んだ意味がないと感じているのです。しかし、実際はそうではありません。

自分では意識していなくても、本の内容というのは潜在的に頭の中に残っているのです。

そのため、必要なときに、必要な知識やアイデアが頭の中に浮かび上がってきます。そして、そのアイデアを実践で活用することができるのです。

つまり、多読によって得た知識やアイデアは、消化できていない訳ではなく、潜在的に蓄積されているのです。

そして、本で学んだ知識やアイデアは、数が多いほど実践で活用できる確率は高くなります。だからこそ、営業マンは数多くの書籍で勉強しておく必要があるのです。

 本の内容は潜在的に蓄積されていく
私がIT業界で法人営業を行っていたときの話です。多読の効果を実感した出来事がありました。それは、あるコンペの提案を失注してしまったときです。

お客様から「今回のプロジェクトは他社にお願いすることにしました」と聞かされたとき私は非常にショックを受けました。半年間近くも続けてきた提案であり、多くの時間と労力をかけてきたからです。

その連絡を受けてから私は、しばらく呆然としていました。そして、案件をクロージングできなかったことに対して腹立たしくなってきたのです。

「なぜ他社の提案を採用したのだ」

「弊社の提案の内容はニーズにマッチしていると言っていたではないか」

このように、納得いかない思いで頭の中が一杯になりました。そして、ふと頭の中に「すでに起きてしまった出来事をいくら悔やんでも意味がない」という教訓が浮かんできたのです。

このような考え方を思い出すことができたのは、私が読書によってこの教訓を学んでいたからです。しかし私は、どのようなタイトルの本で、誰が書いた書籍であるかを全く思い出すことができませんでした。

ただ単に、この教訓だけが自然と頭の中に浮かび上がってきたのです。

これは読書によって、その本に書かれていた知識やアイデアが頭の中に蓄積されていたからです。自分では意識していなくても、潜在的に本の内容というのは頭の中に残っているのです。

さらに、これは多くの本を読んでいくことで、一つひとつの知識や教訓は、より強く潜在意識の中に残るようになります。なぜなら、数冊の本によって繰り返し学ぶことで、インパクトが強まるからです。

つまり、多読をすることは、知識や教訓を頭の中に蓄積していく作業と同じことなのです。

多くの人は、多読によって情報をインプットしても、記憶に残らないので意味がないのではないかと考えます。しかし、本の内容は消化されていない訳ではなく、潜在的に蓄積されているのです。

そして、その内容は必要なときに思い出され、実践で活用することができます。だからこそ営業マンは、数多くの書籍を読んで、膨大な量の知識やノウハウを学んでおくことが大切なのです。

あなたが学んだ本の内容は、潜在意識に蓄積されていくことを理解してください。そして、営業の実践の場で活用することを目的として、あなたも多読により多くの学びを得るようにしてください。